かあさんふくろう イーディス・サッチャー・ハード作 クレメント・ハード絵 おびかゆうこ訳 偕成社

画像この表紙の、かあさんふくろうの鋭い眼差しに惹きつけられました。4羽のひなを守りつつ、あたりを睥睨するかあさんふくろうには、威厳が備わっています。青と茶を基調にした版画の色合いの美しさにもうっとりします。後書きでかこさとしさんが、この絵本について書かれています。ふくろうの子育てする姿を、化学的に正しく、しかも詩情豊かに描いてあるところが、この絵本の素晴らしいところだと。いや、かこさとしさんの指摘はさすがです。音もなく獲物を狙うふくろうの羽風を感じるような、素晴らしい絵です。

左に枝の上から消化できなかった獲物の骨や毛を吐きだすかあさんふくろう、右に大きくなって羽を上下させる子ふくろうという見開きの頁があります。食べるものと食べられるもの。厳としたサイクルの中で彼らが生きていることが、ここから伝わってきます。私たちは、人の世界に生きています。ややもすると、その世界のみが全てであるように思ってしまう。でも、ル=グウィンが「子どもの本の動物たち」で述べていたように、私たちはそれだけでは、心が乾いてしまう。空を見て、海を見て、自分を超える何物かに想いを馳せるのは、その心の渇きのなせる技かもしれません。命のやりとりを日常として生きる彼ら動物の心性に触れることで、私たちはかろうじて人智を超える大きなものの存在を感じることが出来るのかもしれません。この絵本には、その自然に対する畏れがちゃんと書きこまれています。子どもを育てる動物の理屈抜きの愛情深さと一緒に書かれているのも素敵です。

この絵本は、1974年に出版されたものの和訳です。いい絵本は、古くならないですねえ。手元に置いて、ときどき眺めたくなる一冊です。

2012年7月刊行
偕成社

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