テーマ:あ行の作家

とにかく散歩いたしましょう 小川洋子 毎日新聞社

小川さんの新刊『最果てアーケード』を、発売してすぐ買い、ちびちび、ちびちびと読んでいて、まだ終わらない。小川さんの物語は、私にとっては美味しい美味しい飴ちゃんのようなもの。言葉のひとつひとつを口にいれて転がして味わい、そっと舌触りを楽しむ。長期間枕元に置いて、あちこち拾い読みしたり、また一から読んだり、そんなことをしながらいつの間にか自…
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残穢 小野不由美 新潮社

このところ、体調不良でとうとう蕁麻疹まで発生。仕事と家事でいっぱいいっぱいな一週間でした。本はたゆまず読んでいるのだけれど、レビューが書けないまんま溜まっていき、既に夏休み明け直前の小学生状態(笑)・・・といっても、今は夏休みは早く終わるんですよね。昔の小学生の感覚からすると、8月の中途半端なところから始まる2学期なんて、すごく損した気…
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朽ちていった命 ―被爆治療83日間の記録― NHK「東海村臨界事故」取材班 新潮文庫

昨年の震災から一年半が経って、原発をめぐる世論も、段々と論調が変わってきたように思う。この夏の暑さとともに原発も仕方ないよね、という空気が漂っている。今週も先週も、週刊文春が原発の記事を載せているのだけれど、そこで意見を述べている評論家が、福島で原発の被害にあった人たちに対して「『この気持ちがわかるか』と聞かれても気の毒だけれどわからな…
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願いのかなうまがり角 岡田淳 田中六大・絵 偕成社

おじいちゃんの出てくる物語には、読み手を安心させる力があると思います。親ではない一歩引いた余裕というか。長い人生を歩き抜いてきたおじいちゃんがそこにいてくれる安心というのは、子どもにとってとてもいいものなんじゃないかと思います。例えば、ファージョンの『町かどのジム』。オルレブの『くじらの歌』。いとうひろしさんの『だいじょうぶ だ…
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よるの美容室 市川朔久子 講談社

私ごとですが(笑)美容院にいくのが、好きです。中でも好きなのは、ゆっくりシャンプーしてもらうこと。今流行りの炭酸ソーダ水で時間をかけて洗い流して貰っているうちに、うとうとしてしまう、あの気持ちよさったらありません。ただし、上手な人にしてもらう時に限りますが。力の入れ具合、リズムなど、やっぱり大きく個人差がありますよね。この物語は、上手な…
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氷山の南 池澤夏樹 文藝春秋

少年(正確に言うと、少年と青年の間ぐらいか)を主人公にした、成長・・ではなく、教養小説です。なぜ成長ではないかというと、この物語の主人公JINには、成長痛がないから。彼は感じ、学び、受け取り、貯めこんだ分、みごとに広がっていく。子どもと大人の境目にいる年齢の青年が、ある特殊な環境の中に放り込まれることで、そこにいる大人たちからたくさんの…
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そろえてちょうだい?2 いくえみ綾 祥伝社

萌え萌えの猫との蜜月記でございます。もうもう、とってもかわゆい!!いくえみさんの猫マンガは、一番ツボをついてきます。この甘甘っぷり(笑)一緒や~! いくえみさんちは、猫が生活の中心。いやー、むっちゃわかる。そして、猫がいくえみさんの後をついてまわるのも一緒。うちも、猫が私のあとをついてまわります。今も横でころりんころりんしてる。私…
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ある一日 いしいしんじ 新潮社

命が生まれる特別な一日を描いた小説です。いしいさんの筆が、父になった誇らしさに満ちてます。もちろん、生まれてくることは喜びだけではなくて、不安とか、畏れとか、悲しみとか、そんなものと一緒に生まれてくるのだけれど。出産という特別な一日から広がる時空が、全ての命と繋がっていく様子が、何ともドラマチックで輝きに満ちてるんです。いしいさんの物語…
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もうすぐ絶滅するという紙の書物について ウンベルト・エーコ ジャン・クロード・カリエール 

このタイトルがいい。紙の書物が「もうすぐ絶滅するという」ことを、この世で一番信じていない二人の対談にぴったりだ。私も、この世界から紙の本が無くなる、ということを全く信じていない一人なのだけれど、この本を読んで、ますますそう思った。 この二人の碩学―ウンベルト・エーコと、ジャン・クロード・カリエールは、奇稀本と古書の収集でも有名らし…
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春を恨んだりはしない 震災をめぐって考えたこと 池澤夏樹 中央公論新社

この本を読んで色々考えているところに、京都でおこった怖ろしい事件の報道を聞いた。まだ詳細はわからないのですが、8人の方が亡くなったとか・・。理不尽という昏い穴は、私たちのすぐ横にぽっかり口をあけているのだと、こういうことがある度に思い知らされます。しかし、思い知らされることと、納得することは違います。どこに納得できないのか・・昨年私たち…
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きなりの雲 石田千 講談社

編み物に一時非常に凝ったことがあります。一本の糸が形になって、セーターになっていくのが面白い。羊毛の香ばしい、あったかい匂いがいい。そして何より、何度でもほどいてやり直せるのがいい。小心者の私にはぴったりなんです。この物語も、再生のお話です。ばらばらになった自分を、ゆっくりほどいて編み直すように日常を回復していく。その過程が、丁寧に細や…
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精霊の守り人 上橋菜穂子 二木真希子絵 偕成社 ①

守り人シリーズの幻の作品、『炎路の旅人』が収録された最新刊、『炎路を行く者』が発売されました。『炎路の旅人』は、『蒼路の旅人』の前に書かれていた小説ですが、上橋先生曰く、このヒュウゴの物語が生まれたからこそ、そのあとの壮大な『天と地の守り人』全3巻が上橋先生の中で立ちあがったということ。さっそく買って読み、感想を書こうと思ったのですが・…
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時の旅人 アリソン・アトリー 松野正子訳 岩波少年文庫

この本が書かれたのは、1939年、この岩波少年文庫に翻訳されたのは、1998年。まさに、長い時を旅してきた物語です。イングランドの田舎を舞台にして、現在と過去を行き来する少女の日々がとても色鮮やかに描かれていて、ここ数日私はこの古い農園に、主人公のペネロピーと一緒に魅入られていました。 ロンドンに住む三人兄弟の末っ子・ペネロピーは…
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夢違 恩田陸 角川書店

終わらない悪い夢を見ているような小説。夢診断、フロイト、無意識の領海、香りの記憶、夢の中での記憶のすり替えなど、筒井康隆を強く意識させるような作品に思えました。筒井作品ほど理詰めではないのですが、細部の描写や、延々とくり返されるモチーフで「悪夢」を漂わせる筆力はさすがです。読み終わったあと、ぐったり疲れてうたた寝をしてしまい、作品の続き…
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ピース・ヴィレッジ 岩瀬成子 偕成社

岩瀬さんの文章は、とても細やかだ。私たちが呼吸を繰り返すたびに胸に降り積もり、消えていってしまうようなこと。一生口に出さず胸に秘めているうちに、遠く霞んでしまうようなあれこれを、鮮やかに甦らせてくれる。そして、知らないうちに、大切なものを渡されてしまうのだ。その何気ない鮮やかさに、私はいつも舌を巻いてしまう。 物語は、小学校6年生…
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かわいいにもほどがある いくえみ綾 集英社

いくえみさんのマンガに出てくる猫さんが、とっても好きなんですよねえ。猫マンガが今たくさんありますが、感覚的にダメだと思うのもたくさんあって、猫が出てくるからいいっていうもんでもありません。その線引きは、私の場合、作者の血中猫度が問題なような気がします。町田康さん(マンガじゃないけど)や、大島弓子さんのように、人よりもとにかく猫という猫バ…
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田舎暮らしの猫 トビー・ジャグと過ごした英国の四季 デニス・オコナー ランダムハウスジャパン

猫の物語にはめっぽう弱い私ですが。この本には、心底やられました。自然をとことん愛するイギリス紳士のオコナー先生と、やんちゃで、賢くて、とっても愛情深いトビー・ジャグという猫の、この上なく幸せな物語。こんな幸せな時間が人生にあれば、他のことは全て色あせてしまうだろうと想うくらいの、黄金の日々です。人間同士よりも、言葉が交わされない分、もっ…
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だれにもいえない 岩瀬成子 網中いずる絵 毎日新聞社

ここ数日、大阪は曇りがちで涼しかったのだけれど、今日は日差しが出て暑い。とうとう我慢できなくなってクーラーを入れたら、室温が33℃だった(笑)暑さに強すぎですか・・。暑い中で長編を読むのはけっこうきついので、薄くて表紙が涼しげなこの本に手が伸びました。主人公は10歳の女の子。「だれにもいえない」ことが、ふつふつと生まれてくる頃・・それま…
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3月のライオン 6巻 & スピカ(羽海野チカ初期短編集) 羽海野チカ 白泉社

2冊を同じ月に刊行という羽海野さん祭りに、顔をほころばせつつ本屋から帰宅。 『3月のライオン』は6巻です。表紙は二階堂くん。二階堂くん大好きだから、嬉しいなあ。 『3月のライオン 6』 皆がそれぞれの場所で闘い続ける第6巻。その闘いの果てはまだ見えません。見えないながらも・・ひなちゃんを、自分の大切な人を守ろうとする零…
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「守り人」のすべて 守り人シリーズ完全ガイド 上橋菜穂子 偕成社

この本を、マイミクさんのところで知って、狂喜乱舞でポチっとし、到着しました。大好きな上橋菜穂子先生の「守り人シリーズ」の完全ガイドです。大好きです、「守り人シリーズ」。我を忘れて読みふける、幼い頃そのまんまの読書の喜びを与えてもらった本です。カッコいい女用心棒のバルサ、健気でとてもピュアな王子のチャグム。二人が出会ったときから始まる物語…
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ヴァレンタインズ オラフ・オラフソン 岩本正恵訳 白水社

白水社さんから出る本って、何となく得点が高い、というイメージがある(笑)そして、この本も期待にたがわず面白かった。人生の中で、どうしようもなく壊れていくもの、変わっていくものがあるという苦い事実が、淡々と丁寧に綴られます。それはもう、非常に淡々と。壊れてしまえば、壊れるしか無かったのだと思えることも、そのきっかけはほんのささいな事だった…
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千年の森をこえて キャシー・アッペルト 片岡しのぶ訳 デイビッド・スモール絵 あすなろ書房

この間、楽しみにしていた『ホットスポット・最後の楽園』の第6回を見ました。最終回は日本で、森に暮らすニホンザル達が主な主人公だったんですが・・その日本の森の美しさに息を飲みました。このシリーズはとても映像が美しくて、これまで紹介された国の自然もとても感動的だったんですが、この日本の森には、ほんとにぐらっとするほど感動してしまいました。こ…
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池澤夏樹の世界文学リミックス 完全版 河出書房新社

この河出書房から出ている、池澤さん編の『世界文学全集』が欲しいと、おっきな本屋にいくたび思う。私は昔から、けっこう全集系が好きなのだ。しかし、一番の難点は置き場所。どの巻も気合が入って分厚いこの全集、全30巻をどこに置くねん、と考えるとなかなか手が出ない。でも、やっぱり欲しい!と、この本を読んでまた悩む(笑) 池澤さんが、その全集…
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言葉の誕生を科学する 小川洋子 岡ノ谷一夫 河出書房新社

言葉、って何だろう。私も、常々それを考える。私は言葉で物事を考える。言葉の中に生きている。言葉を書き連ねる。しかし、その一方で言葉を口から出すことがどんどん苦手になる自分もいる。一度口から出すと二度と取り返しがつかなくなる言葉というものが、非常に怖くもある。ネットの海に氾濫する言葉にひどく傷つけられてしまうこともある。毎日、レビューを書…
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幸田家のきもの 青木奈緒 講談社

幸田文さんの孫に生まれる、というのはどんな気持ちがすることか。それはさぞかし重かろう、と想うのだがこの本の中に佇んでおられる奈緒さんは凛として、見惚れてしまうほど美しい。『夢に咲く花』という項で、フランスの音楽祭に濡れ描きのきものを着ていったところ、行く先々で大歓迎され、入れないはずの場所にも「キモノがいくから」という一言で入れた、とい…
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ハートビートに耳をかたむけて ロレッタ・エルスワース 三辺律子訳 小学館SUPER YA!

この物語は、心臓移植がテーマです。将来を期待されたフィギュアスケートの選手で、16歳のイーガンが、ある日大会の競技中に、フェンスに激突して死んでしまう。そして、その心臓は、同じ10代の少女である、アメリアに移植される。その二人の少女に起こった人生の大きな変化を、運命の日の前後を含めてとても丁寧に描きだしてある物語です。家族との葛藤や、愛…
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いねむり先生 伊集院静 集英社

【子どもたちへ<あしたの本>プロジェクト】という活動が始まっています。東日本大震災の支援として、被災地の子どもたちに本を送ろうという活動です。そのプロジェクトの一環として、子どもの本の作家等による応援メッセージ、直筆画を販売して活動資金にするオークションがネット上でも公開されています。 →こちらから たくさんの児童文学や絵本作家の方…
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抱擁、あるいはライスには塩を 江國香織 集英社

江國さんの家族の一代記。大作です。 江國さんにとって「家族」というのは一つのキーワードだと思う。『流しのしたの骨』もそうでしたが、家庭、家族というのは、一歩離れて眺めると、不思議なことが多いもんです。その家だけの習慣があり、合言葉があり、食生活がある。当たり前のようだけれど、私たちは育った家庭のあれこれにすっかり影響されて生きている。…
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ジーノの家 内田洋子 文藝春秋

この本をお書きになった内田洋子さんについて、私は何も知らない。ただ、とてもシンプルな装丁のこの本に惹かれた。こういう勘はあまり外れたことが無いのだけれど、今回も見事に当たりでした。30年以上もイタリアに住んでおられる中で出会った「人」にまつわる話が10篇書かれているのだけれど、そのどれもが深い滋味を湛えていて心に沁みる。文章から伺うに、…
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末裔 絲山秋子 講談社

家に入ろうとしたら鍵穴がない。そんな馬鹿な、と何度も探しても、鍵穴はツルツルのまま。 そんな設定で始まる、冴えないおっさんの物語なのに、何故か最後まで読むと不思議に新しい光が射してくるような気がした。 主人公の省三は妻を三年前に亡くし、定年間近。家を出ていった子ども達とは疎遠になり、仕事にも対して打ち込めない。家の中は、死んだ妻…
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