テーマ:は行の作家

さがしています アーサー・ビナード 写真・岡倉禎志 童心社

ここに映されている「もの」たちは、かっては人の体温に寄り添っていたものたちだ。お弁当箱。鼻眼鏡。手袋。日記。帽子・・・。本来なら、人生の時の中で、ゆっくりと持ち主に寄り添い、役立ち、共に朽ちていくはずだった「もの」たち。でも、彼らが寄り添っていた人たちは、あの広島の暑い夏の日に一瞬で消えてしまった。だから、彼らの時間は止まったままなのだ…
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弟子 アラルエン戦記1 ジョン・フラガナン 入江真佐子訳 岩崎書店 

身寄りのない孤独な少年が、優れた先達に素質を見出され、修行を詰み紆余曲折を経ながらその才能を開花させていく―というのは、ファンタジーの型の一つです。弱者であると周りに思われていた少年が、ヒーローになっていく。ある意味RPGの王道ですが、面白いなと思ったのが、日本の忍者ものに設定が似ていること。さる王国の孤児院で大きくなった少年が「レンジ…
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レガッタ! 水をつかむ 濱野京子 講談社 YA!ENTERTAINMENT

オリンピックが気になって、寝不足です(笑)さすがに夜中は寝てしまうのですが、結果が気になって早起きしてしまう。皆、とってもいい顔してますよね。努力に努力を重ねてきた人だけが持つ輝きがあります。それにしても、いろんな競技種目がありますよね。例えば、フェンシングなんて、日常生活の中ではまずお目にかからない競技。でも、世界の強豪と互角以上に闘…
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かあさんふくろう イーディス・サッチャー・ハード作 クレメント・ハード絵 おびかゆうこ訳 偕成社

この表紙の、かあさんふくろうの鋭い眼差しに惹きつけられました。4羽のひなを守りつつ、あたりを睥睨するかあさんふくろうには、威厳が備わっています。青と茶を基調にした版画の色合いの美しさにもうっとりします。後書きでかこさとしさんが、この絵本について書かれています。ふくろうの子育てする姿を、化学的に正しく、しかも詩情豊かに描いてあるところが、…
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ブルックリン・フォリーズ ポール・オースター 柴田元幸訳 新潮社

物語は細部に宿る。今日の午後、寝ている猫たちの横で、しみじみ小説を読む喜びに浸ってしまった。ずっと好きで読んでいる作家さんの物語は、長年の友達と語り合うように、行間のニュアンスまで心に沁みる。ニューヨークのブルックリンに住む人々が刻む小さな暮らしのリズムが、あれよあれよという間にジャズのセッションを重ねるように見事な音楽を奏でる、その妙…
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なのはな 萩尾望都 小学館

震災のあと、月刊誌に連載しておられた作品を、まとめられたものです。 萩尾さんの想いが、深く込められた一冊。 特に表題の『なのはな』『なのはなー幻想「銀河鉄道の夜」』は、胸に迫ります。 いつも、マンガという文化は、子どもの方を向いています。 ずっとその先頭にいて、道を切り開いてこられた萩尾さんの目線は、 これからの未来を生き…
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紅に輝く河 濱野京子 角川書店 銀のさじシリーズ 

『碧空の果てに』『白い月の丘で』に続く、シューマ平原の国々を舞台にしたファンタジー3作目です。国の行く末を左右する運命を背負った王女・・というドラマチックな設定。濱野さんのリリカルな魅力が満載の物語です。そして、いつもいいなと思うのが、登場人物たちがいつも自分の想いに忠実なこと。生まれる時代、国、家庭・・自分がいる場所のルールというもの…
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小公女 フランシス・ホジソン・バーネット 高楼方子訳 福音館書店

金曜に、猫を拾ってしまいました(汗)夕方の駅前のロータリーという、人も車も自転車も激しく行き来する場所で、激しく鳴くちっさい猫を発見。道行く人に、にゃんにゃんとむしゃぶりついては鳴いているんです。友人と思わず近寄ってしまったのが運のつき(笑)首輪をしているので飼い猫かもしれないと思い、とりあえずキャリーを家から持ってきて保護し、あちこち…
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お父さんのバイオリン ほしおさなえ 徳間書店

最近、人の心の無意識の領海の大きさについて、よく考えます。私たちが意識している部分の下に、膨大な量の何かが眠っているーというのは、若い頃にユング心理学をかじったときから知ってるつもりだったのですが。知ってるつもりと、それが身に沁みてわかることの間には、大きな大きな壁があるんですよね。この年齢になってそれを実感します。河合隼雄さんもおっし…
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一瞬と永遠と 萩尾望都 幻戯書房

萩尾さんの、文字で書かれたエッセイ集です。うわー、珍しい、と想ってさっそく読んでみました。 萩尾望都さんと言えば、私にとっては神です。『ポーの一族』『トーマの心臓』『11人いる!』『ウは宇宙船のウ』『百億の昼と千億の夜』―作品タイトルをこうして並べるだけで、ドキドキしてしまうほど、物ごころついてから、繰り返し読んで浸ってきました。…
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町かどのジム エリノア・ファージョン 松岡享子訳 学習研究社

少しずつ、古い作品などもきっちり読んでおきたいなあと思ってます。児童書やYAを好き勝手に眼につくままに読んできただけなので、体系的な視点に欠けるし、時代と作品との関係などの知識も希薄だし。勉強不足この上ない(汗)ということで、まずファージョンかな、と少々勉強気分でこの本を読んだのですが。何のことはない、ファージョンの自由で暖かい日射しを…
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ルイジアナの青い空 キンバリー・ウイリス・ホルト 河野万里子訳 白水社

ここ数日、非常に残暑が厳しいです。夏空全開。こんな時は、涼しいところで読書が一番です(笑)夏らしい本を読みたいなあと思って、表紙が青空のこの本を・・。『ザッカリー・ビーヴァーが町に来た日』で、鮮やかな少年の夏を描いたホルトのデビュー作です。主人公は12歳の少女。大人への入り口にさしかかる年齢です。自分の両親が、いわゆる普通ではないことに…
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迷子のアリたち ジェニー・バレンタイン 田中亜希子訳 小学館SUPER! YA

YAという分野の中で、「傷つけた者」の罪の意識を書いた物語は、印象深い作品が多いんです。すぐに思い浮かぶのは、ポール・フライシュマンの「風をつむぐ少年」、アン・キャシディの「JJをさがして」、ソーニャ・ハートネットの「サレンダー」などですが。この「迷子のアリたち」もまた、傷つけた者を描いた物語ではありますが、先にあげた作品たちとは、少し…
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テッドがおばあちゃんを見つけた夜 ペグ・ケレット 吉上恭太訳 スカイエマ絵 徳間書店

年を重ねるにつれ、段々身の回りに増えてくる話題が、親の介護。幸いにして、うちはまだ母が元気なので、その問題はまだ無いのだが、とにかく友達同士顔を合わせると、必ず出る話題がこれです。友人にも相談されたりすることが多いし、ほんとに他人事じゃないとしみじみ思う。なので、この本のテーマは、私にとっても身近で切実な問題です。 この物語の主人公で…
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どこ行くの、パパ? ジャン=ルイ・フルニエ 河野万里子訳 白水社

「どこ行くの、パパ?」フランス語の原題は、[Où on va, Papa?]。 これは、作者のフルニエ氏の息子であるトマが、車に乗るといつも繰り返した言葉。フランス語で読んでみると、それが幼い子にはとても発音しやすい音だということがわかります。何度も何度も口の中で繰り返していると、この言葉が不思議な音楽のように聞こえてく…
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君がいない夜のごはん 穂村弘 NHK出版

穂村さんのエッセイには、同世代のツボを突かれてしまう。前にも書いたことがあるけれど、私たちの世代は影が薄い。団塊の世代ほど自己主張もなく。昭和の高度成長時代と一緒に育ってきているので、子ども時代は見事に貧しく、大人になると変にバブリーだったりして、ふり幅が大きい分、何でもありなんですよねえ。ほんと、私たちの世代ほど、情報機器や食文化が大…
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なずな 堀江敏幸 集英社

赤ちゃんを抱っこすると、ほわ~んとあったかくて、甘い、とってもいい匂いがします。お乳の匂い。ミルクの匂い。それだけじゃない、生まれたての命から発散する、うっとりする匂い。あの匂いを嗅ぐと、母性本能がぎゅっとくすぐられます(笑)赤ちゃんの存在感って、ほんとに凄いものなんですよね。今話題になっている『八日目の蝉』は赤ちゃんを連れ去るお話です…
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馬を盗みに ペール・ペッテルソン 西田英恵訳 白水社

この本は、大好きなぱせりさんのブログで紹介されていた本。もっとも、私はまずタイトルだけ控えて、まだぱせりさんのレビューは読んでいないんです。(このレビュー書いたら読みに行こうっと。楽しみ!)私は、新しい本を読むとき、なるべく誰のレビューも読まないで臨みます。自分の心を出来るだけ何の先入観も持たないでまっさらにしておきたいから。だから、こ…
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フライ・ハイ ポーリン・フィスク 代田亜香子訳 あかね書房 YA Step

一つ前に書いた『キリエル』もそうなんですが、これもあかね書房の『YA Step』というシリーズの一冊。図書館向けの読み物セットなんですが、なかなかラインナップが良くて楽しみです。YAシリーズなんですが、あまり甘くない。この出版社によるYAものの違いは、けっこう面白いものがあります。角川も最近『銀のさじ』シリーズをたくさん出していますが、…
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白い月の丘で 濱野京子 角川書店 銀のさじシリーズ

濱野さんの新作、楽しみにしてました。『碧空の果てに』の続編とも言えるファンタジーです。『碧空の果てに』も、魅力的なラブロマンスでしたが、この作品も、素敵でした。柔らかく息づく若い心を、奥深い異国の背景に乗せて描く、魅力あふれる一冊でした。 トール国の鞋を作る職人の娘・マーリィは、笛の名手。アインスに滅ぼされ、音楽を禁じられた中で、…
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夏の小鳥たち ペネロピ・ファーマー 山口圭三郎訳 山口幸平画 篠崎書林

初版は昭和51年です。挿絵を描いている山口幸平さんの絵に、とても惹かれます。この『夏の小鳥たち』は、先日読んだ七河迦南さんの本に出てきたので、図書館の書庫から探し出してきたのですが、表紙を見た途端、「あっ!」と想ってしまいました。昔、確かのこの方の挿絵の本を読んだことがある。タイトルを思い出せないのが悔しいんですが。そんな山口さんの繊細…
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希望(ホープ)のいる町 ジョーン・バウアー 中田香訳 作品社

作品社の<金原瑞人選オールタイムベストYA>の一冊。 このシリーズ、注目してます。ロレッタ・エルスワースの『とむらう女』も、先日レビューを書いた『わたしは売られてきた』も、印象深い作品でした。選書している金原さんの言葉によると、シンシア・カドハタの『きらきら』のような作品を中心に据えたいとか。うん、なるほど。という事で、この『希望のい…
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SCAT(スキャット) カール・ハイアセン 千葉茂樹訳 理論社

『HOOT』『FLUSH』に続く、ハイアセンのYA第3作目。これがもう、読みだしたら止まらない面白さだった。久々に、読んだあと元気が貰えるイキのいい物語で、読後感もすっきり。 「希望の泉はつきることがありません」 これは、この本の扉に書かれている言葉。この言葉を、今、この時代に読者に納得させることは、なかなか難しいことだと想…
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卵をめぐる祖父の戦争 デイヴィッド・ベニオフ 田口俊樹訳 早川書房

芥川賞と直木賞が決まりましたね。 芥川賞は、朝吹真理子さん(26)『きことわ』と西村賢太さん(43)の『苦役列車』。 直木賞に木内昇さん(43)の『漂砂のうたう』と道尾秀介さんの『月と蟹』。 『漂砂のうたう』を読もうとしたけど、読めないままの返却期限がきて図書館に返してしまった・・。それ以外の作品は未読ですが、西村さん、道尾さ…
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ローカル・ガールズ アリス・ホフマン 北條文緒訳 みすず書房

古い本ですが、『二十歳の原点』という本をご存じですか。全共闘時代真っただ中に、若くして命を絶ってしまった 高野悦子さんの日記をまとめたもので、若い頃、随分熟読しました。高野さんは、自死を選んでこの世を去ってしまわれますが、30を過ぎてこの本を読み返した時、高野さんに、あの夜を一緒に過ごす女友達がいたら、踏切の中に身を躍らせた時のあ…
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うさぎの庭 広瀬寿子 あかね書房

来年はうさぎ年です。 そこで、うさぎのお話を何か・・と探していて、 表紙の絵が柔らかくていい感じなので手にとりました。 表紙というのは大事ですねえ。うん。 私の勘は当たっていて、これがとてもいいお話でした。 修は、人に対して、はっきりものが言えない。 友達に対してもそうだし、父も母も、修とは全く違う、 何に対してももの…
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アギーの祈り 濱野京子 偕成社

今年、濱野さんの作品を読むのは、これで3作目では ないかしら。 『ヘヴンリープレイス』(これはレビューを書き損ねてる) 『竜の木の約束』、そして、この『アギーの祈り』。 どれも繊細で、それでいて、伝えたいことがまっすぐ 心に届く強さを持った作品だと思う。 この『アギーの祈り』は、架空の国を舞台にした ファンタジー・・と言っ…
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ヒトラー・ユーゲントの若者たち 愛国心の名のもとに S.C.バートレッティ 林田康一訳 あすなろ書房

ヒトラー・ユーゲントとは、「ヒトラー青年団」のこと。 当時、ドイツでは、若い世代にヒトラーはとても人気があった。 第一次世界大戦に敗れたあと、「不安定で頼りない政府、 高い失業率、そして貧困の蔓延に苦しんでいたとき」 (本文からの抜粋ですが、うーん・・どこか今の日本と 似ています)「わくわくするような高揚感」を若者に与え、 …
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世界でいちばん長い写真 誉田哲也 光文社

今日は、夕方から友人の貸してくれた「とりぱん」を 読み続け、目がショボショボ。 コタツにこもって、ずーっとマンガを読んでいると、 「私って、ほんとに役立たず」感いっぱい。 冬の夕方の物侘しさと相まって、とっても自虐的な 快感でございます。でも、面白いな~、「とりぱん」。 でも、書くレビューは、全然違う本についてです。(何でや…
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竜の木の約束 濱野京子 あかね書房

私たちは、何も自分で選んで生まれてくることが出来ない。 性別も、親も、自分の容貌も、家庭環境も。 与えられた環境の中で生きていかねばならない子ども時代を 経て、思春期というのは、「こうありたい」と願う自分に向かう、 第一歩。しかし、その一歩をうまく、スムーズに踏み出す事は なかなか難しい事だと思う。これまでの親との関係、この年…
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