テーマ:児童書

光のうつしえ 廣島 ヒロシマ 広島  朽木祥 講談社

「美」はいつも心に新しい感動をくれる。美しさは人の心の扉を開いて、そっと奥底に滑り込む。夕焼けが、樹々や海の色が人の心にいつも何かを語りかけるように、「美しい」ということは私たちの心を解き放つのだ。ヒロシマの物語、というと「怖い」「恐ろしい」という拒否反応が特に子どもたちには生まれがちだが、この『光のうつしえ 廣島 ヒロシマ 広島』は、…
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さがしています アーサー・ビナード 写真・岡倉禎志 童心社

ここに映されている「もの」たちは、かっては人の体温に寄り添っていたものたちだ。お弁当箱。鼻眼鏡。手袋。日記。帽子・・・。本来なら、人生の時の中で、ゆっくりと持ち主に寄り添い、役立ち、共に朽ちていくはずだった「もの」たち。でも、彼らが寄り添っていた人たちは、あの広島の暑い夏の日に一瞬で消えてしまった。だから、彼らの時間は止まったままなのだ…
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弟子 アラルエン戦記1 ジョン・フラガナン 入江真佐子訳 岩崎書店 

身寄りのない孤独な少年が、優れた先達に素質を見出され、修行を詰み紆余曲折を経ながらその才能を開花させていく―というのは、ファンタジーの型の一つです。弱者であると周りに思われていた少年が、ヒーローになっていく。ある意味RPGの王道ですが、面白いなと思ったのが、日本の忍者ものに設定が似ていること。さる王国の孤児院で大きくなった少年が「レンジ…
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金沢 日帰り旅行記1 ~玉川こども図書館

金沢に「おいしい本箱」の相方と日帰り旅行に行ってきました。金沢は、加賀百万石のお膝元。元々好きな町ではありましたが、久々にその文化の厚みと豊かさにすっかり魅了されて帰ってきました。当初の目的は21世紀美術館だったのですが、行きのサンダーバードの中でいろいろ地図を見ているうちに、『玉川こども図書館』という名前を見つけて、いきなり目的地に追…
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日本児童文学 2012 9・10月号 『ソルティー・ウォーター』と『明日美』

今号の『日本児童文学』のテーマは「3.11と児童文学」である。震災から1年半ほど時間が経って、3.11が少しずつ文学という形に現れてきた。この号では、3.11以降の核の問題をテーマにして、芝田勝茂さんの『ソルティー・ウォーター』と、菅野雪虫さんの『明日美』という作品が掲載されている。どちらも、核とともに生きていかねばならない子どもたちの…
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バク夢姫のご学友 柏葉幸子 児嶋なおみ絵 偕成社

この人、何だかいけ好かない、と思う。感じわるーい、もしくは、きっと友達にはなれないよね、と思う。でも、学校でも仕事でも、どうしてもその人と一緒に行動しなきゃいけなかったりすることがあります。この物語の主人公の女の子・五月も、いきなり、ちょっと変わったお上品な言葉を話すバクと過ごさなくてはならなくなります。ぽっちゃり、いや、ぽってり体型、…
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かえるのそらとぶけんきゅうじょ 村上勉 偕成社

小さな頃は、かえるが苦手でした。教室で、いきなり大きな牛がえるを男子に投げつけられて絶叫したこともありました。でも、最近はかえるさんがとても可愛いと思うんですよ。うちの庭には、何匹かアマガエルが棲みついていて、よくカラーの葉の上でくつろいでいます。ちっさなちっさな手に、粟粒のような吸盤が付いていて、緑の宝石のように綺麗で見惚れてしまう。…
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ラモーナは豆台風 ベバリイ・クリアリー 松岡享子訳 ルイス・ダーリング絵 学研

たくさんの子どもたちに愛されている『ゆかいなヘンリーくん』シリーズの一冊です。新しく改訂新版が出ているので、嬉しくなって手に取りました。長く読まれている本は、時々こうして新版を出してもらうと、いいですね。人気のある本ほどボロボロになってしまうのが図書館の宿命。でも、いざ買い換えようと思うと絶版になっていたりすることが、ままあります。子ど…
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ふたりのイーダ 松谷みよ子 司修絵 講談社

私が言うまでもなく、非常に有名な作品です。映画にもなってますね。この作品が書かれたのは1969年。私が、まだイーダの年齢に近い頃です。それから40年以上が過ぎましたが、この本はずっと読み継がれています。8月6日になると読み返す、という人がたくさんいることを先日ツイッターで発見して、思わず再読しました。 この作品は、戦争文学としてと…
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願いのかなうまがり角 岡田淳 田中六大・絵 偕成社

おじいちゃんの出てくる物語には、読み手を安心させる力があると思います。親ではない一歩引いた余裕というか。長い人生を歩き抜いてきたおじいちゃんがそこにいてくれる安心というのは、子どもにとってとてもいいものなんじゃないかと思います。例えば、ファージョンの『町かどのジム』。オルレブの『くじらの歌』。いとうひろしさんの『だいじょうぶ だ…
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女王さまがおまちかね 菅野雪虫 ポプラ社

夏休みの宿題の定番、読書感想文。書けないと悩む女の子が主人公です。これがねえ・・・私も大嫌いでした。なぜかというと、この物語で現が分類した、類型的な読書感想文みたいになるのがイヤだったんですよね。どうしても、学校のリストにあがっている本で、大人の満足するような感想文を書こうとすると、ステレオタイプになる。大人が何を求めているのかをわかっ…
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まるごと日本の季節 学研もちあるき図鑑 学習研究社

最近、図鑑や事典が再び人気のようです。その気持ち、わかります。人気の原因は、「所有感覚」にあるんじゃないかな、と想います。コレクションの喜び。美しいものを心に刻む喜び。図鑑や事典を一冊持つことで、私たちはある秩序をもって整えられた引き出しを手に入れる。この世界の一部を手に入れることが出来る。先日読んだ『異性』という本の中で、穂村弘さんが…
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グリフィンとお茶を ~ファンタジーに見る動物たち~ 荻原規子 徳間書店

動物、というのはファンタジーと縁が深い。どちらも、「物語」の源流に近いものだからかもしれない。人が焚火の前で子どもたちに語ってきかせた、生のままの物語。そこでは、きっと自然に住まう神々と繋がるものとして、たくさんの動物たちが登場したはずだ。かって、真の暗闇に住んでいた頃、私たちは動物よりもずっと下の存在だったはず。彼らのような運動能力や…
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ネジマキ草と銅の城 パウル・ビーヘル 野坂悦子訳 村上勉絵 福音館書店

村上勉さんの表紙と挿絵に、思わず手が伸びました。子どもの頃から、村上さんの絵が大好きなんです。佐藤さとるさんのコロボックルのシリーズは言うまでもなく・・昔、村上さんの挿絵の「家なき子」を持っていたんですよ。今でも、頭の中にくっきり浮かぶほど印象的な本だったんですが、残念なことに、もう手元にはありません。村上さんの絵はとても躍動感があって…
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精霊の守り人 上橋菜穂子 二木真希子絵 偕成社 ①

守り人シリーズの幻の作品、『炎路の旅人』が収録された最新刊、『炎路を行く者』が発売されました。『炎路の旅人』は、『蒼路の旅人』の前に書かれていた小説ですが、上橋先生曰く、このヒュウゴの物語が生まれたからこそ、そのあとの壮大な『天と地の守り人』全3巻が上橋先生の中で立ちあがったということ。さっそく買って読み、感想を書こうと思ったのですが・…
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本へのとびら 岩波少年文庫を語る 宮崎駿 岩波新書

年に1回か2回、銀座にある教文館ナルニア国という、子どもの本屋さんに行きます。ここは、品ぞろえが素晴らしいんですよ。子どもの本、YAに対する深い理解があって作られている本棚だということがよくわかります。ここでしか買えないテキストや研究書などもあるので、行くと必ず散財してしまうことになるのですが、そこにいつもたくさん並べてあるのが、岩波少…
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時の旅人 アリソン・アトリー 松野正子訳 岩波少年文庫

この本が書かれたのは、1939年、この岩波少年文庫に翻訳されたのは、1998年。まさに、長い時を旅してきた物語です。イングランドの田舎を舞台にして、現在と過去を行き来する少女の日々がとても色鮮やかに描かれていて、ここ数日私はこの古い農園に、主人公のペネロピーと一緒に魅入られていました。 ロンドンに住む三人兄弟の末っ子・ペネロピーは…
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ねこが見た話 たかどのほうこ 瓜南直子絵 福音館書店

1998年刊行の本です。ねこがみた、ちょっとヘンな話の連作短編なんですが、これが面白いんですよ!ナンセンス味の短編が4つ。そこはかとなくブラックな味わいにぞくぞくして、ニンマリです。たかどのほうこさんは、ほんとにセンスが良い。独特のユーモア感覚が冴える短編に、すっかり楽しませて頂きました。 「キノコと三人家族のまき」「もちつもたれつの…
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リンデ ときありえ 高畠純絵 講談社文学の扉

この、高畠さんの表紙がたまりません。リンデの笑顔です。おっきな犬が持つ、ゆったりした笑顔。思わず頁を開かずにはいられませんよね、こんな顔されたら。愛する人を失うことの不安に攫われそうになっていた男の子を、ぽかぽかの犬の体温が包み込みます。ここのところ、毎日寒くて、お日様にもあまりお目にかかれない。気分も落ち込みがちでしたが、この物語にし…
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宇宙からきたかんづめ 佐藤さとる ゴブリン書房

この本は、1967年に発行されたものの再刊だそうです。加筆修正もされているそうなんですが、なんと私とあまり変わらない年齢の物語です(笑)それにしては、なんとも瑞々しく、まったく古くなっていないのに驚きました。すぐれた物語というのは、実に年を取らないですね。羨ましい限りです。 「ぼく」は、ある日スーパーマーケットで不思議な缶詰に出会…
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クロックワークスリー マコーリー公園と三つの宝物 マシュー・カービー 石崎洋司訳 講談社

煌びやかな都会と深い闇の大きな森がある19世紀末のアメリカ東部の町を舞台にした、3人の少年と少女が繰り広げる冒険活劇です。自動人形、オペラ、タロット、降霊会、孤児院、大道芸人・・・もう、ありとあらゆるものを詰め込んで息つく間もなく物語が展開していくのが楽しくて仕方がない。主人公たちと一緒に町を走り回っているうちに時間が経つのを忘れてしま…
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小公女 フランシス・ホジソン・バーネット 高楼方子訳 福音館書店

金曜に、猫を拾ってしまいました(汗)夕方の駅前のロータリーという、人も車も自転車も激しく行き来する場所で、激しく鳴くちっさい猫を発見。道行く人に、にゃんにゃんとむしゃぶりついては鳴いているんです。友人と思わず近寄ってしまったのが運のつき(笑)首輪をしているので飼い猫かもしれないと思い、とりあえずキャリーを家から持ってきて保護し、あちこち…
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父さんの手紙はぜんぶおぼえた タミ・シュム=トヴ 母袋夏生訳 岩波書店

「愛」と気軽に人は言うけれど。「愛」ってこういうことなんだよ、と説明することも、目に見えるように提示することも、あまりに難しい。その昔、向田邦子さんが、「愛」という言葉を聞くと、ゆでたまごを思いだすと書いてらしたことがあった。遠足のとき、同級生のお母さんが、娘のためにクラス全員に卵をゆでて持ってきた。お母さんが恐縮しながら渡すその卵の温…
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お父さんのバイオリン ほしおさなえ 徳間書店

最近、人の心の無意識の領海の大きさについて、よく考えます。私たちが意識している部分の下に、膨大な量の何かが眠っているーというのは、若い頃にユング心理学をかじったときから知ってるつもりだったのですが。知ってるつもりと、それが身に沁みてわかることの間には、大きな大きな壁があるんですよね。この年齢になってそれを実感します。河合隼雄さんもおっし…
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ピートのスケートレース ルイーズ・ボーデン 福音館書店

新年あけましておめでとうございます。 2012年が始まりました。平成になって24年めです。今年もいろいろあるだろうと思います。なぜなら、世界の変わり方があまりにも目まぐるしくなっているから。筒井康隆の「急流」という小説をご存じですか?毎日加速度的に時間の進み方が早くなって、ラストでは時間がどうどうと滝のように流れ落ち、その先はなく…
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2011年を振り返って

久しぶりの更新です。 この三カ月、ずっとある事にかかりきりで、こちらがおろそかになっていました。でも、ずーっと、ずーっとこちらを書きたくて仕方なくて。今日、やっと解放されたので、いそいそと更新です。すっかり世間から忘れられてる感がありますが(笑)新年から、がんばって書いていきますので、どうかよろしくお願いします。 気がつけば、2…
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帰命寺横町の夏 柏葉幸子 講談社

死んだ人が生き返る。そんなことは、絶対に無いのだけれど。もし、自分の周りに、そんな人、いや、亡者がいたら・・・。この物語は、思いがけず、そんな出来ごとに遭遇してしまった男の子のお話です。こう書くと、一瞬ゾンビ系のホラーと思われてしまいそうが、決してそうではなく。「生きる」ということの切なさ、かけがえのなさが、胸いっぱいに満ちるような柏葉…
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1/12の冒険 マリアン・マローン 橋本恵訳 ほるぷ出版

小さいことは、チェスタトンが「棒大なる針小」で書いていたように、ドラマチックなこと。例えば・・・この身体が、ウルトラマンサイズになってしまったとしたら。ちょっと歩けば家を踏みつぶす。山を歩けば崖崩れ。海辺を歩けば、港を壊す。迷惑この上ないですよね。(昔テレビで、ウルトラマンが怪獣と格闘するたびに、私はそれがとても気になっていた。怪獣より…
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シンポジウム 子どもの物語・大人の物語

昨日、大阪産業創造館であった、日本ペンクラブ主催のシンポジウムに行ってきました。パネリストは、今江祥智さん、里中満知子さん、越水利江子さん、令丈ヒロ子さん、進行はひこ・田中さんという豪華なメンバーです。いやー、ほんとに楽しかった!会場には、他にもいろいろと作家さんが来られていて、話が広がるわ、広がるわ、初めのテーマからどんどん膨らんで・…
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パンプキン!模擬原爆の夏 令丈ヒロ子 講談社

とろとろと書いているうちに過ぎ去ってしまったが。9月11日は、アメリカの同時多発テロがあった日であり、あの3月11日の震災から、半年という日でもあった。10年前のあの日も、半年前のあの日も、呆然としてテレビの前で座り込み、延々と繰り返される映像を見ていた。生きている間に、こんな恐ろしい光景を見ることになると、想像したこともなかった。しか…
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