テーマ:た行の作家

サラスの旅 シヴォーン・ダウド 尾高薫訳 ゴブリン書房

この物語の主人公のホリーは、本当に可愛げのない女の子です。口からは悪態やしらけた言葉しかでてこない。「つまりあたしは実のないヒイラギ、あるのは棘だけだ」この言葉の通りに、とげとげのハリネズミです。体中に溜めこんでいる怒りのオーラがふつふつとこちらに伝わってくるんです。でも、読んでいるうちに、あてどない旅の中で、段々彼女の繊細さや悲しみが…
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ロージーとムサ ミヒャエル・デコック作 ユーディット・バニステンダー絵 朝日学生新聞社

残暑が厳しいままの9月突入ですが、せめて気分だけでも季節先取りで(笑)歩き出そうと扉を開けたとたん、冷たい風が吹き付けて立ちすくんでしまった時に、心をあっためてくれる一杯のあったかいお茶。そんな本です。 離婚して家を出たママと一緒に、街の反対側に越してきたロージー。見知らぬそこは、なんだかさびしくて、パパと過ごした夏の日が、はるか…
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チャイとミーミー 谷村志穂 河出書房新社

また猫かい!と自分にツッコミましたが(笑)今度は猫本です。 谷村志穂さんの猫エッセイですが・・軽い「猫好きなの」という内容ではなく、人生をがっつりと猫と分け合って暮らしてきた谷村さんの濃い思いがいっぱいに詰まった本です。 女性の20代から30代というのは、激動の時期です。仕事、恋愛、結婚、出産・・・。心も体も翻弄されて、くた…
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ねこが見た話 たかどのほうこ 瓜南直子絵 福音館書店

1998年刊行の本です。ねこがみた、ちょっとヘンな話の連作短編なんですが、これが面白いんですよ!ナンセンス味の短編が4つ。そこはかとなくブラックな味わいにぞくぞくして、ニンマリです。たかどのほうこさんは、ほんとにセンスが良い。独特のユーモア感覚が冴える短編に、すっかり楽しませて頂きました。 「キノコと三人家族のまき」「もちつもたれつの…
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リンデ ときありえ 高畠純絵 講談社文学の扉

この、高畠さんの表紙がたまりません。リンデの笑顔です。おっきな犬が持つ、ゆったりした笑顔。思わず頁を開かずにはいられませんよね、こんな顔されたら。愛する人を失うことの不安に攫われそうになっていた男の子を、ぽかぽかの犬の体温が包み込みます。ここのところ、毎日寒くて、お日様にもあまりお目にかかれない。気分も落ち込みがちでしたが、この物語にし…
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新訳・チェーホフ短編集 沼野充義 集英社

チェーホフやトルストイや、ドストエフスキーを一生懸命読んだのは10代や20代の若者の時で、その時の私に彼らの作品のことがどれだけわかっていたのか、はなはだ心もとない。だから、今、もう一度しっかり読み返したいとも思うし、最近たくさん新訳が出ているので、どんなんやろ、と少なからず興味もありまして。長編はしんどいんで、まずはチェーホフかな、と…
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ワーカーズ・ダイジェスト 津村記久子 集英社

田辺聖子さんの『われにやさしき人多かりき』という本を読んでいて、「可愛げ」という言葉に、惹かれました。「可愛い」と「可愛げ」は違う。子猫や子ども、愛らしいもの、幼いもの、当たり前に可愛いものに対するのが、「うわあ、可愛い」。一方可愛げというのは、「何や知らん、可愛げのない人や」「あのおっちゃん、ちょっと可愛げあるし、憎まれへんなあ」とか…
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ボグ・チャイルド シヴォーン・ダウト 千葉茂樹訳 ゴブリン書房

日本でなら、政治に無関係にも生きられる。でも、そうはいかない国の方がおおい。今、激動の中にある中東や北アフリカの国々などは、まさにそう。エジプトやリビアのニュースを聴くたびに、そこで流された若者たちの血と母親たちの嘆きを、私はどうしても想像してしまう。この物語の中の若者たちも、政治と無関係ではいられない国に住んでいる。この物語の時代背景…
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クリスマス・キャロル ディケンズ 池央耿訳 光文社古典新訳文庫

世間的にはクリスマスだけれども、個人的には 全く関係ない生活です。 今日も一日大掃除・・しただけ。で、これだけ読みました。 ディケンズの「クリスマス・キャロル」は 愛読書で毎年読みます。 ずっと昔から慣れ親しんでいる村岡花子さんの訳が とても好きなんですが、この光文社の新訳がどんなのか 興味が湧いて買ってみました。 非常…
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竜が最後に帰る場所 恒川光太郎 講談社

恒川さんの幻想は、いつも心の琴線に触れてくる。 どこか郷愁を誘うような、繋いだ手の記憶に心が疼いて 痛くなるような、そんな幻想。そう・・幻想というより、 やっぱり「記憶」なんだな。この脳だか、心だかの、 遥かな場所と繋がる所に、帰っていく。そんな感じ。 その遥かな場所は、やはり「死」の匂いがします。 一つ目の「風を放つ」…
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ミムス―宮廷道化師―  リリ・タール 木本栄 小峰書店

ずっと、読もう読もうと思いながら、分厚さに負けていたのだが やっと手を付け、その面白さに一気読み。 主人公のフローリンという王子のたどる運命のジェットコースター 加減に翻弄されて、ドキドキハラハラのひと時でした。 モンフィール国の跡継ぎにと、大切に育てられ、楽しい毎日を 謳歌していた王子・フロリーンに、ある日和平交渉に隣国…
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シャーロット・ドイルの告白 アヴィ 茅野美ど里訳 あすなろ書房

ガチガチに躾られ、「レディ」として生きることしか 知らなかった少女が、海の上で自分を解き放っていく 過程が痛快な物語。 寄宿学校の都合で、家族と離れて一人、 イギリスからアメリカへ向かう船に乗り込んだ シャーロット・ドイル。ところが、付き添ってくれる はずの家族は現れず、乗船する前から、 船長の名前を聴いただけでポータ…
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南の子供が夜いくところ 恒川光太郎 角川書店

タイトルがいいなと思って、ずっと気になっていた。 予想に違わず、やっぱり面白かった。 ナイトメア、つまり夢魔をテーマにした、ゴヤの絵があります。 「理性の眠りは怪物を生む」という作品で、眠りこけている 男の背中から、たくさんの魔物たちが飛び立つ絵。 この恒川さんの短編連作も、夜の眠りの中から生まれたような 奇妙な味の短編…
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ソウル・コレクター ジェフリー・ディーヴァ- 池田真紀子訳 

どうもここ何年か、年末というと、ジェフリー・ディーヴァーを 読んでいる気がする(笑) 今年も、やっぱり年の暮れにタイミングが来ましたね。 今年の「このミステリがすごい!」のランキングに入っている 海外ものを読むのは、これが初めてかも。 さすがの出来の、ライムシリーズでした。 今回は、ネット社会における個人情報というものの…
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勝てる読書 豊崎由美 14歳の世渡り術シリーズ 河出書房新社

豊崎社長の、熱くて暑苦しい愛の詰まった 一冊です(褒めてます) いや、ほんとに「愛」ですよ。 こんなに本をストレートに愛してる人は、ほんと 少ないと思いますよ。 「好き」っていうのが、すべての出発点で そこから、どんどん繋がっていく本たちを 星座に見立てて、どんどん本が紹介されています。 ほんとに、気持ちいいほど凄い…
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秒読み 筒井康隆コレクション 福音館書店 ボクラノエスエフ

福音館から、刊行が始まった、この「ボクラノエスエフ」シリーズ。 名作といわれるコレクションを、新しい装丁で見せてくれます。 今流行の、ソフトカバーで、「ん?」と、手にとってみたくなる装丁。 面白いです。 SFを読み出したのは、やはり中学生の頃だったか。 その中でも、筒井康隆は、私の衝撃の読書体験でした。 それまでの既成概…
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悼む人 天童荒太 文藝春秋 

ネットニュースを見たら、この作品が 直木賞を取ってはりましたね。さもあらん、という ところです。この本をこのタイミングで読んだのは たまたまですが(笑)タイムリーでしたね(笑) 天童さんは、この物語を書くのに7年を費やされたらしい。 「命」「死」「生きること」「愛すること」。 捉えようとすれば、どこまでも逃げようとする …
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まっくら、奇妙にしずか アイナール・トゥルコウスキイ 河出書房新社 

絵本です。でも、これは子どものためと いうよりは・・大人のための絵本。 非常に緻密な絵。この絵は、全て シャープペンシルで描かれています。 三年間かかって、芯を400本使って 描かれたそうで・・その緻密さは、圧力と なって見るものに迫ってきます。 台風の目の静けさ。ブラックホールのように 時間も吸い込む圧力です(笑) …
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ルチアさん 高楼方子 フレーベル館

「飛ぶ教室」の2008年春号に 12歳の自分に、今プレゼントするなら どんな本にするか、という特集があって 自分なら何にするか、つらつらと考えていました。 上橋さんの「守り人」のシリーズなんかもいいし 梨木さんの「西の魔女が死んだ」も読ませたい。 朽木さんの「たそかれ」の河童くんにも会わせて やりたかったもんだとか、色々悩…
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初恋素描帖 豊島ミホ メディアファクトリー

なんとも可愛いというか、微笑ましいというか。 どこかの中学2年2組の、20人。その一人ひとりの揺れる心を ちょっとずつ掬って、夏の終わりのプールに浮かべたような 短編集。陽射しがあたってキラキラして、でも、ふっと消えて すぐに見えなくなってしまう、そんな一瞬。 ちょっとずつ秘密があって、人に見せている顔と、自分にしか 見せな…
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花が咲く頃いた君と 豊島ミホ 双葉社

豊島さんの小説を読むのは、何作目なんだろうなあ・・。 この人の物語の独特の居心地悪さ(褒めてます)に始めは ちょっと異物感を感じたもんなんですが、最近は、私にも豊島さんの 毒が回ってきたのか(褒めてます)これが、気持ちよくなってきました(笑) そう、居心地悪いんですよね。 決して心穏やかな世界ではない。 人が人として…
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時計坂の家 高楼方子 リブリオ出版

最近、この本の話を、コメントに来てくださった夢子さんがしておられました。そこで、何となく随分昔に読んだっきりになっていたこの物語を再読しました。感想は・・やはり、高楼さんは凄い。この一言です。 「あくがれる」というのは、古語で、何かに惹かれて、魂がふらふらとさまよい出る、という意味。なんと昔の人は、うまいことを言うものだと思う。こ…
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リリィの籠 豊島ミホ 光文社

七つのお話が入った短編集。 「銀杏泥棒は金色」 「ポニーテール・ドリーム」 「忘れないでね」 「ながれるひめ」 「いちごとくま」 「やさしい人」 「ゆうちゃんはレズ」 この七つのお話が入った、籠・・というのが この本の趣向なんですね。 リリィ・・っていう甘い名前と、凝った可愛い表紙。 昔、リリアンっていうものがあっ…
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東京・地震・たんぽぽ 豊島ミホ 集英社

東京に阪神大震災並みの地震が起こったら・・。 というテーマで書かれた14の短編。 今年は東京に行く機会が多かったし、山手線含め、いろんな路線に 乗って、東京の街を眺めることが多かったんですが。 ほんまに、ぎっちり家と人が詰まってました・・。 うちは大阪から電車で15分くらいの距離ですが、まだ田んぼもあり、 そんなに都会や…
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緑の模様画 高楼方子 福音館書店

「女の子って何でできてる? 女の子って何でできてる? 砂糖にスパイス それに 素敵なものばかり そういうもので できてるよ」 マザーグースの一説です。この物語を読みながら、この詩を思い出してました。 登場する3人の少女・・まゆ子、テト、アミがとても生き生きして魅力的です。 乙女達。その言葉がぴったり。しかし、高楼さんの…
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6時間後に君は死ぬ 高野和明 講談社

「6時間後に君は死ぬ」・・このタイトルにはびっくりしましたが。 読んでみると、思いがけずハートフルで、よく練られたいい作品でした。 予知、という割と使い古されたテーマを題材に、ここまで緊迫感ある 作品を粒をそろえて書くことができる・・力量がありますね。 予知をするのは、心理学者の山葉圭史。どことなく、影の薄い感じですが なかな…
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アル・カポネによろしく ジェニファ・チョールデンコウ こだまともこ 訳 あすなろ書房

アル・カポネ、なんて言っても、今の子どもたちにはピンとこないかも しれない。アメリカ禁酒法時代の、マフィアの有名なボス。 この物語は、その時代、アルカトラズという一つの島が、まるまる刑務所で ある島での家族の物語。島には、監獄で働く、看守や技師の家族が、一緒に 住んでいたらしい。それも知らなかったなあ・・・。 扉の惹句は、 …
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時間のない国で ケイト・トンプソン 渡邊庸子訳 東京創元社

時間が、流れるように過ぎ去っていく。 朝起きて、今日はあれとこれと、そう・・できたらあれもしようと 心積もりする。ところが・・その思ったことの半分もできたら、いい方で・・。 これは、私の時間の使い方が悪いのかと、夕方になって呆然としたりする。 今日も一日ムダにしてしまったわ・・と、忸怩たる思いにかられたりして。 これは私のよく…
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クリスマス・カロル ディケンズ 村岡花子訳 新潮社

クリスマス企画第二弾、ということで。(しかし、多分今日で 終わってしまう~)私の大好きなこの本を・・・。 もう言わずと知れた名作です。たくさんの絵本にもなっています。 うちにも、何冊か洋書の絵本があるなあ。 しかし、毎年読み返すのは、この村岡花子さん訳の新潮文庫。 他の訳ものぞいてみたことがあるのだが、どうもダメで。 生…
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ジョゼと虎と魚たち 田辺聖子 角川文庫

今日息子の部屋でこの文庫本を見つけまして・・。 どうやら中古の本屋さんで自分で買ったらしい。 そういえば映画の「ジョゼと虎と魚たち」を一緒に見たことはあったなあ・・。 おせいさんを買うなんて生意気やな、と一人ごちつつ、頁を開いたら 何度も読んだはずなのに、あっという間に引きずりこまれてやめられなかった。 私はたぶんこの人の作品…
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