テーマ:外国男性作家

ブルックリン・フォリーズ ポール・オースター 柴田元幸訳 新潮社

物語は細部に宿る。今日の午後、寝ている猫たちの横で、しみじみ小説を読む喜びに浸ってしまった。ずっと好きで読んでいる作家さんの物語は、長年の友達と語り合うように、行間のニュアンスまで心に沁みる。ニューヨークのブルックリンに住む人々が刻む小さな暮らしのリズムが、あれよあれよという間にジャズのセッションを重ねるように見事な音楽を奏でる、その妙…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

シーグと拳銃と黄金の謎 マーカス・セジウィック 小田原智美訳 作品社

梅雨に入り、やたらに暑い職場にぐったりの日々。猫も暑いのか、最近、くうちゃんが、洗面所で水遊びをするのに夢中で、どこにいても水音がするとダッシュしてきます。猫も暑いと水浴びしたくなるのかも(笑)猫のように涼を求めて・・というわけではないのですが、この『シーグと拳銃と黄金の謎』は、もわっとした日本の夏とは正反対の、極寒の地で繰り広げられる…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

犯罪 フェルディナント・フォン・シーラッハ 酒寄進一訳 東京創元社

非常に淡々とした文章で描かれた小説です。それはもう、見事なまでに淡々とした文章で、読んでいて「これは小説なのかしら?」と少々不安になるほど。警察の調書のような(と言っても、実際に見たことは無いんですが)雰囲気が漂う文章です。テーマは、タイトル通り、「犯罪」。様々な犯罪を描いた短編が11篇。内容としてはセンセーショナルなものなんですが、三…
トラックバック:2
コメント:0

続きを読むread more

やせっぽちの死刑執行人 ダレン・シャン 西本かおる訳 小学館

価値観の違い、というものは様々な苦しみを生みだす要因になる。宗教、ジェンダー、文化、人種、世間的な地位・・・それらが「違う」ということと、物事の善悪を混同してしまうことの、なんと多いことか。以前にも触れたんですが、『他者の苦しみへの責任』(みすず書房)という本を、ちびちびと読んでいる。(まだ、読んでる・爆)その中の論文で紹介されている、…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

田舎暮らしの猫 トビー・ジャグと過ごした英国の四季 デニス・オコナー ランダムハウスジャパン

猫の物語にはめっぽう弱い私ですが。この本には、心底やられました。自然をとことん愛するイギリス紳士のオコナー先生と、やんちゃで、賢くて、とっても愛情深いトビー・ジャグという猫の、この上なく幸せな物語。こんな幸せな時間が人生にあれば、他のことは全て色あせてしまうだろうと想うくらいの、黄金の日々です。人間同士よりも、言葉が交わされない分、もっ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

スキ・キス・スキ! アレックス・シアラー 田中亜希子訳 あかね書房YA Step!

アレックス・シアラーのガールズものって、初めてかもしれません。しかも、スターに恋する女の子のお話。いかにも、メグ・キャボットあたりが書きそうな設定なんですが・・そうそう、メグ・キャボットにもありましたね。「ティーン・アイドル」という、アイドルスターが自分の学校に転校してきて・・・という、ラブロマンスが。しかし、あの物語の主人公の女の子は…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

どこ行くの、パパ? ジャン=ルイ・フルニエ 河野万里子訳 白水社

「どこ行くの、パパ?」フランス語の原題は、[Où on va, Papa?]。 これは、作者のフルニエ氏の息子であるトマが、車に乗るといつも繰り返した言葉。フランス語で読んでみると、それが幼い子にはとても発音しやすい音だということがわかります。何度も何度も口の中で繰り返していると、この言葉が不思議な音楽のように聞こえてく…
トラックバック:0
コメント:4

続きを読むread more

ヴァレンタインズ オラフ・オラフソン 岩本正恵訳 白水社

白水社さんから出る本って、何となく得点が高い、というイメージがある(笑)そして、この本も期待にたがわず面白かった。人生の中で、どうしようもなく壊れていくもの、変わっていくものがあるという苦い事実が、淡々と丁寧に綴られます。それはもう、非常に淡々と。壊れてしまえば、壊れるしか無かったのだと思えることも、そのきっかけはほんのささいな事だった…
トラックバック:1
コメント:2

続きを読むread more

新訳・チェーホフ短編集 沼野充義 集英社

チェーホフやトルストイや、ドストエフスキーを一生懸命読んだのは10代や20代の若者の時で、その時の私に彼らの作品のことがどれだけわかっていたのか、はなはだ心もとない。だから、今、もう一度しっかり読み返したいとも思うし、最近たくさん新訳が出ているので、どんなんやろ、と少なからず興味もありまして。長編はしんどいんで、まずはチェーホフかな、と…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

馬を盗みに ペール・ペッテルソン 西田英恵訳 白水社

この本は、大好きなぱせりさんのブログで紹介されていた本。もっとも、私はまずタイトルだけ控えて、まだぱせりさんのレビューは読んでいないんです。(このレビュー書いたら読みに行こうっと。楽しみ!)私は、新しい本を読むとき、なるべく誰のレビューも読まないで臨みます。自分の心を出来るだけ何の先入観も持たないでまっさらにしておきたいから。だから、こ…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

大草原のちいさなオオカミ 姜戎(シャンロン)作 唐亜明・関野喜久子/訳 講談社

「哲学者とオオカミ」を読んでから、私はオオカミに深い畏怖の念を抱いているので、実はこの物語を読みだしてすぐに放り出したくなってしまった。この物語に描かれる小狼というオオカミの子が、無残な行く末をたどるのが即座にわかってしまったから。モンゴルに生きるオオカミの猛々しい誇り高さと、彼らを取り巻く人間の愚かしさが、有り体に描かれる。その対比が…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

黒猫オルドウィンの冒険 アダム・ジェイ・エプスタイン&アンドリュー・ジェイコブスン 早川書房

この表紙の黒い猫。うちの庭にやってくる、タビーにそっくり。(あ、タビーというのは私が勝手につけた彼の名前。白足袋はいてるみたいだから。単純・・)目の色まで同じなんですよ。これは、遺伝学的にそうなってるんでしょうか。しかも、性格的にも、この物語の主人公・オルドウィンに似ています(笑)どことなくふてぶてしく、一匹で生きてきたせいか、非常に用…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

希望(ホープ)のいる町 ジョーン・バウアー 中田香訳 作品社

作品社の<金原瑞人選オールタイムベストYA>の一冊。 このシリーズ、注目してます。ロレッタ・エルスワースの『とむらう女』も、先日レビューを書いた『わたしは売られてきた』も、印象深い作品でした。選書している金原さんの言葉によると、シンシア・カドハタの『きらきら』のような作品を中心に据えたいとか。うん、なるほど。という事で、この『希望のい…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

SCAT(スキャット) カール・ハイアセン 千葉茂樹訳 理論社

『HOOT』『FLUSH』に続く、ハイアセンのYA第3作目。これがもう、読みだしたら止まらない面白さだった。久々に、読んだあと元気が貰えるイキのいい物語で、読後感もすっきり。 「希望の泉はつきることがありません」 これは、この本の扉に書かれている言葉。この言葉を、今、この時代に読者に納得させることは、なかなか難しいことだと想…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

卵をめぐる祖父の戦争 デイヴィッド・ベニオフ 田口俊樹訳 早川書房

芥川賞と直木賞が決まりましたね。 芥川賞は、朝吹真理子さん(26)『きことわ』と西村賢太さん(43)の『苦役列車』。 直木賞に木内昇さん(43)の『漂砂のうたう』と道尾秀介さんの『月と蟹』。 『漂砂のうたう』を読もうとしたけど、読めないままの返却期限がきて図書館に返してしまった・・。それ以外の作品は未読ですが、西村さん、道尾さ…
トラックバック:1
コメント:2

続きを読むread more

時の書 Ⅲ 黄金の輪 ギューム・プレヴォー 伊藤直子訳 くもん出版

タイムトラベルをテーマにした、このファンタジーも3巻で完結。 時のコインを使って、いろんな時代にタイムトラベルするという設定も 最初は何やらぎこちなく感じられたのですが、ここに来て、こなれた感じ。 こなれたら、終わりやん・・という(笑)でもね、タイムトラベル、というのは あまり繰り返してはいけないと思うんですよ、例え物語でも。 …
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

オラクル・ナイト ポール・オースター 柴田元幸訳 新潮社

お正月ひとつめに読んだ本ですが。 読書の喜びを堪能させてもらえる一冊でした。 「オラクル」(oracle)というのは、神託、という意味。 神の一撃が降ってくる夜。抗いがたい、理不尽が人に降る。 偶然なのか、必然なのか、逃れ難い人生の糸に がんじがらめになっていく人間の営みが 見事に描き出されていきます。 構成の見事さ、文章…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

クリスマス・キャロル ディケンズ 池央耿訳 光文社古典新訳文庫

世間的にはクリスマスだけれども、個人的には 全く関係ない生活です。 今日も一日大掃除・・しただけ。で、これだけ読みました。 ディケンズの「クリスマス・キャロル」は 愛読書で毎年読みます。 ずっと昔から慣れ親しんでいる村岡花子さんの訳が とても好きなんですが、この光文社の新訳がどんなのか 興味が湧いて買ってみました。 非常…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

フォスターさんの郵便配達 エリアセル・カンシーノ 宇野和美訳 偕成社

味のある、「人生」を感じさせる大人が出てくると、 児童書にはとても深みが出る。 最近の日本の児童文学やYAには、そういう作品が 少ないなあと思うんですが。 この作品は、1960年代のスペインを舞台にしたもの。 社会的な背景の中で、様々な過去を持つ大人との 関わりの中で、一人の少年の心が成長する瞬間を 詩情豊かに書きあげてあ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ミムス―宮廷道化師―  リリ・タール 木本栄 小峰書店

ずっと、読もう読もうと思いながら、分厚さに負けていたのだが やっと手を付け、その面白さに一気読み。 主人公のフローリンという王子のたどる運命のジェットコースター 加減に翻弄されて、ドキドキハラハラのひと時でした。 モンフィール国の跡継ぎにと、大切に育てられ、楽しい毎日を 謳歌していた王子・フロリーンに、ある日和平交渉に隣国…
トラックバック:0
コメント:3

続きを読むread more

哲学者とオオカミ (その2) マーク・ローランズ著 今泉みね子訳 白水社

やっと読了しました。 最後の方は、予想した事ですが、涙涙でなかなか読み進まず・・。 ブレニンが年老いて弱っていくのを読むのは辛かった。 しかし、そのブレニンの苦しみと共に存在した日々が、 著者にとって一番大切な、かけがえのない日々であったことが まぎれもない真実として書き記されていて、心打たれた。 私たちは、時間の動物で…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

哲学者とオオカミ 愛・死・幸福についてのレッスン マーク・ローランズ著 今泉みね子訳 白水社

ここのところ、身の回りでハードな事柄が続いていて あれこれ考えてしまう今日この頃。 人間の残酷さや、自分の身の内に潜む弱さや、そんなものに 頭がぐるぐるしてしまう。 そんな中・・この本を読み始め、ぐいぐい引き込まれてます。 まだ、全部読めてないんですけど・・他の本でレビュー書こうと 想っていたにも関わらず、この本のことを語り…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

アイスマーク スチュアート・ヒル 金原瑞人・中村浩美訳 ソニーマガジンズ

暑い。ひたすら暑い。 昨日、ちょっと用事があって都会に電車で 出ただけで、今日まで頭痛と吐き気に 悩まされた。どんだけ暑さに弱いねん! ここはひとつ涼しくなる物語でも読むか、と 思って読み始めたら・・。 何ともこれがまた、熱い戦いの物語で すっかりのめり込んで一気読みしてしまいました。 勇猛な王・リドラウトが治めるア…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

くじらの歌 ウーリー・オルレブ 母袋夏生訳 下田昌克絵 岩波書店

なぜだろう、一目みた時に、予感のように心通じる本がある。 「待ってたよ」という、本の呟きが聞こえるんですよね。 私のこの予感は、まず外れた事がない。 久々に「来た!」と予感の働いたこの本は、これから 何度も読み返す心の友になりそうです。 主人公は11歳の男の子、ミハエル。 アメリカで生まれ育った彼は、祖父の住んでいる …
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

洋梨形の男 ジョージ・R・R・マーティン 中村融訳 河出書房新社

この「奇想コレクション」のシリーズはチェックする事が多いです。 いわゆる「奇妙な味」の作品が読めるので楽しみにしています。 何しろ、外国語に疎いので、もう翻訳&編集して 下さる方のセンスに頼ってしまうしかない、外国作品・・と いうことで(笑)柴田元幸さんとか、岸本佐知子さんとかの 名前を翻訳で見ると、嬉しくなりますが。 この…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

月の花 アイナール・トゥルコウスキィ 鈴木仁子訳 河出書房新社

この方の本を見るのは2作目。「まっくら、奇妙にしずか」で 鮮烈なデビューを果たしてから、数年が経ちましたが、 この2作目も、相変わらずの迫力。 鋭く削られたシャープペンシル一本で描かれる幻想の庭は 相変わらずの迫力です。 ある島に、一人の広大な庭を所有する男が住んでいる。 彼は庭を愛し、庭の手入れをしながら生きている。 …
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

決戦のとき クロニクル千古の闇6 ミシェル・ペイヴァー さくまゆみこ訳 評論社

完結しました。やはり、長いシリーズというのは、 読んでいるうちにすっかり登場人物たちが、知り合いや お友達になってしまっているので、彼らの運命や行く末が 気になって気になって・・。その苦しみや悩みが深いほど、 どうか幸せになって欲しい、と願ったりします。 この巻も、最後までハラハラドキドキで・・。 大きな運命の輪を背負っ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

時の書 Ⅰ 彫刻された石 ギョーム・プレヴォー 伊藤直子訳 くもん出版

タイムスリップものです。 今までにも、これでもか!というくらい、このテーマは 書かれていると思いますが、やっぱり、ワクワクしますねえ。 筒井康隆の「時をかける少女」が何度も何度もリメイクされて 蘇るように、どうもこのテーマは人の心をくすぐるようです。 主人公のサムは14歳。母が3年前に亡くなってから、祖母と 父との3人暮…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

勇気の季節 ロバート・B・パーカー 光野多恵子訳 早川書房

「われらがアウルズ」に続く、パーカーのYA物語、 第2弾です。 スポーツと、事件と、初恋。 その三つを軸にして、少年の成長を描いた物語。 前作はバスケットでしたが、今回のスポーツは、パーカーの 大好きなボクシング。読みやすくて楽しい青春ものに 仕上がっています。 主人公のテリーは15歳。 可愛いGFのアビーとはとって…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

シカゴよりこわい町 リチャード・ペック 斎藤倫子訳 東京創元社

『賞をとった子どもの本』という本を読んでいます。 ルース・アレンというアメリカの方の大著を、 玉川大学出版部が発行してくださいました。 これが非常に面白い。 この本については、また改めて書きますが、 改めて、賞をとった子どもの本、特にYAのジャンルのものを 読みなおしてみようと思っています。 特に、アメリカ・ニューベリー賞…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more