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zoom RSS 裏庭 梨木香歩 理論社

<<   作成日時 : 2005/07/30 22:31   >>

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「おいしい本箱」ファンタジー特集に入れようと再読したのですが、再び深く圧倒されました。すごい・・。文句なしに日本の生んだファンタジーの名作です。

「照美」という少女が、近所の荒れ果てた西洋屋敷の「裏庭」から不思議な世界に入り込み、長い旅をするお話なのですが、この「裏庭」が、この裏庭にかかわった人たちの心が幾重にもかさなるとても複雑な世界なのです。
一つは、バーンズという家に代々連なる「裏庭」を行き来する能力を持つ人たちの作り上げた物語。戦争による悲劇でその裏庭を危機に陥れてしまったレベッカの物語。そのレベッカの姉であるレイチェルと、照美をやさしくうけ入れた丈次の物語。そして照美の祖母と照美の母親が作ってしまった傷つけあった歴史。照美の双子の弟で、早くに亡くなってしまった純の物語。これらが見え隠れしながらも見事にファンタジーとしてのドキドキや不思議さを保っています。それは豊かなイメージと、センスによるものなのでしょう。ファンタジーの形をとり、シンボライズされた登場人物で物語を語ることで、私たちは確固たるイメージで、梨木さんの伝えたかったことを胸に残すことができる。これは、ファンタジーの王道です。

照美は、いつも「愛されない」自分に苛立ちを覚えています。この裏庭の旅は、彼女自身の心の中の旅。ときに怒りを爆発させ、過ちを犯し、人の心を知ることで傷つき・・。そして、すべての旅がおわった時、照美が学んだことは、当たり前であるようで、難しい真実。その照美の確信が、すがすがしい。

この物語は、きっと読む人、読む時によって、ちがうものを伝えてくるはず。私も前回に読んだ時には気づかなかったいろんなことを思いました。自分の物語が見つけられる、というのもこれまた読書の喜びです。

梨木香歩さんは、とても好きな作家。きっとものすごい教養をお持ちなのだと思うのですが、それがさりげなく伝わってくるのもこれまた奥ゆかしい。この作品は、めっちゃやたら刊行される外国のファンタジーなど及びもつかない深い作品だと思います。翻訳とかはされてないのかなあ。世界にも通用すると思うんだけど。あ〜、「家守綺譚」が読みたくなってきちゃたよ。

おいしい本箱へ → http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000416
梨木香歩さんの本 → http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000277
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タイトル (本文) ブログ名/日時
家守綺譚
家守綺譚 梨木香歩 ...続きを見る
イラストレーターの本棚
2005/07/31 12:25
梨の木坂の香歩さん
梨木香歩『村田エフェンディ滞土録』を読んだ。 『からくりからくさ』でトルコとキリ ...続きを見る
quimitoのご本ご本
2005/10/24 14:59
裏庭 梨木香歩
裏庭 ■やぎっちょ書評 これは驚きました。ファンタジー!? ファンタジーという心の準備が全然できていませんでした。梨木さんがファンタジー??「家守綺譚」もよく考えると不思議な話はたくさんあったけど、あれは日常的なというか、不思議な世界がさも「当たり前」だ.... ...続きを見る
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書...
2007/08/03 18:04
『裏庭』/梨木香歩 ○
〜理論社ライブラリー・本をめぐる10代の冒険〜 の中の一冊なわけで、どっちかって言うと中高生向けでしょうか? いえ、大人にもちゃんと読み応えのある、しっかりとしたストーリーの物語でした。 ただ・・・なんだろう。つかみづらかった。たぶんそれは、「自分に向き合う」というメッセージが怖かったから・・・。 私には、照美のような潔さがない。 [もっと自分をもって、もっとシッカリして、もっと他者に優しく、もっと・・・。] 思うことはできても実行できない自分の弱さが暴きたてられるような気がし... ...続きを見る
蒼のほとりで書に溺れ。
2007/09/25 23:27

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。
梨木さん関連の感想を探していてたどり着きました。私も「裏庭」がとても好きで、何度も読み返しています。ほんと読むたびに発見がありますよね。
梨木さんは他にも「丹生都比売」がとても好きです。

家のブログからTBも張らせていただきました(^^)(「裏庭」が古い記事になってしまっているので、「家守綺譚」からなのですが)

それでは失礼します。
おくだ
2005/07/31 12:30
こんにちは〜♪
えーーん、私はイマイチこの世界に入っていけませんでした〜。
大体は頭の中で映像化しながら読むんですけどね、テルミィのお話がどうも悲しいくらいに分かんなかったんです・・・トホホ。
現実世界のお話の方はいいなぁ〜って思いながら読んだんですけどね〜。
ミチ
2005/10/13 08:19
はじめまして。
「裏庭」は、頭と尻尾は読めたのですが、アンコが読めなくて。
梨木さんの作品は好きなのに、
なんで読めないのか自分でも不思議で、そこがファンタジーです。
quimito
2005/10/24 14:56
1年近く前の記事にいまさらコメント付けさせていただくのも何ですが、漸く読み終えたので…

古い大きな洋館、大きな鏡の向こうの秘密の庭、バラバラになった一つ目の竜の化石、崩壊しつつある世界…
いかにものファンタジックな道具立てに一瞬腰が引けたものの、読んでみたらとても骨太で、どちらかというと荒々しく厳しい物語でしたね。「ファンタジー」という言葉の一般的なイメージを、いい意味で裏切っている…そこがまさに本格ファンタジーたる所以でしょうか。非常に読みごたえがありました。
knob (1)
2006/07/08 21:19
ところで…この作品は「エンジェル エンジェル エンジェル」と同じ年に出版されているんですよね。本としての体裁は全くことなりますが、テーマ的にはかなりかぶる部分があるので、それは納得。つまりは自分自身の傷とまともに向き合うということ、傷にとらわれることも傷を偽りの癒しでごまかすこともせず、痛みとともに丸ごと受け容れるということ、更には他人をもその傷ごと受け容れていくということについての物語ではないかと。おそらく梨木さんご自身がこの時期、それについて徹底的に考え抜かれたのでしょう。その末に到達した域で俳句のように生まれたのが「エンジェル」、凄まじくも尊い苦闘の過程を描いたのが「裏庭」なのかなぁ、なんて思いました。作品としては、書き過ぎずに敢えて残した余白に梨木さんらしい気品と余裕を感じさせてくれる「エンジェル」の方が好きですが、「裏庭」は、その梨木さんを梨木さんたらしめている奥の部分を垣間見せてくれる作品であるように思います。まさに梨木さんの "裏庭" の物語といえるのではないでしょうか。
knob (2)
2006/07/08 22:01
>knobさん
ここにお返事しようと思いましたが、書ききれないので新しく記事を書くことにしました。そちらを見てくださいね!
ERI
2006/07/08 22:47

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