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zoom RSS りかさん 梨木香歩 偕成社

<<   作成日時 : 2005/08/12 23:36   >>

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この本、本当はひな祭りのときに出そうと思っていたんです。お人形のお話なんで・・。でも、なんとなく読み返して気が変わりました。これはこの戦争が思い返される時期に書くべきなんじゃないかな、と・・。

すごくきれいで可愛い装丁の本です。文庫版もありますが、やはり元々の偕成社からでている単行本がきれい。「からくりからくさ」にでてくるよう子さんと人形のりかさんの、出会いのお話です。

ようこちゃんは、おひな祭りにおばあちゃんにお人形をねだります。本当は流行のリカちゃんがほしかったのに、おばあちゃんからおくられてきたのは、大きな市松人形。きれいなお振袖を着ています。はじめはがっかりしたようこちゃん。でも、そのりかさんは、おばあちゃんからの説明書もついている特別なお人形。なにしろ朝には着替えさせて箱膳でいっしょにご飯を食べ、一緒に寝るように、と書いてあります。「お人形を幸せ」にする責任があるんだよ、というおばあちゃん。それって何?と考えるようこちゃんですが、りかさんは、持ち主と心を通わせる、不思議なお人形だったのです。

これって、女の子の夢ですよね。大好きできれいなお人形と、毎日一緒にごはんを食べて、自分と心を通わせる。もう人形遊びをしたことのある女の子(しない子はいないでしょうけど)なら、これだけで深く心に食い込んでくるファンタジーなのです。お人形と友だちになる話ならけっこうあるんですが、割とうそ臭くなっちゃう。しかし梨木さんの深いファンタジーの力は、強いイメージであっという間にお話に引き込みます。

りかさんと心が通い、おしゃべりできるようになってから、ようこちゃんにはお人形の声や、不思議なものが聞いたり、見たりできるようになります。人形は、生きてきたそれぞれの物語を持っていて、ようこちゃんにいろいろな話をきかせます。それはそのお人形を持っていた人々のいろんな思い。ようこちゃんはりかさんを通じてそれに触れていくわけですが・・。

そんな人形の一つ、アビゲイルのお話が戦争というものがいかに人の心をふみにじってしまうのか、という強いメッセージに満ちています。アビゲイルは、日米親善のために戦前に作られて、女の子たちの愛をのせて日本に送られてきた人形。日本でも、やはり少女達に愛されて幸せな日々を送っているのですが、始まってしまった戦争が不幸をうみます。鬼畜米英の象徴として、少女達の目の前で残酷な見せしめとして傷つけられ、焼かれてしまう。それも、可愛がった少女たちにその行為を強制させる、という残酷な手段で。その仕打ちに心を潰されて死んでしまった少女の思いが詰まったアビゲイル。その心を、りかさんとようこちゃんが昇華させていく物語です。

もちろん、このお話ばかり書かれているのではないのですが、この夢のようなファンタジーの中で語られるからこそ、戦争というものがどのように人々を襲い、踏み潰していくのかがひしひしと伝わってきます。戦争をテーマにした児童書は多数出ていますが、お人形という、少女の心のよりどころのような存在を通して語られるこのお話は、美しい筆致で描かれていっそう強くメッセージとなって心に刻まれるのではないでしょうか。久しぶりに読み返して、強くそう思ってしまいました。

おいしい本箱へ → http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000417
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りかさん ■やぎっちょ書評 読みました。「リカちゃん人形がほしいと言ったら、りかさんをプレゼントされた」という超ブラック無糖お話・・・・・と、思ったらものすごくいい話だった!! 「からくりからくさ」よりも全然こっちの方が良かったです。というか、「からくり.... ...続きを見る
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書...
2007/08/22 17:27

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ERIさんこんにちは。
不思議な世界が当たり前の日常になるってステキですよね。なかなかあこがれちゃいます。
アビゲイルのお話のところではかなり眉をひそめてしまいました。悲しかったです。。。
やぎっちょ
2007/08/22 17:24
>やぎっちょさん
アビゲイルが焼かれてしまう悲しみ・・。

「からくりからくさ」で、最後りかさんが炎の中で昇天していく場面の、壮絶さと繋がるなにかがあるような気がします。たくさんの人形の・・人間の悲しみとかをりかさんは、一緒に連れていったんかなあ・・と、今ふっと思いました・・。
ERI
2007/08/23 23:21

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