おいしい本箱Diary

アクセスカウンタ

zoom RSS 月の砂漠をさばさばと 北村薫 新潮文庫

<<   作成日時 : 2005/09/18 22:39   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 1

画像
今日は本当にお月様がきれい。
夕方は妙に赤い色だったのが、今みたらくっきりとした鮮やかな
銀色に輝いていた。息子としみじみ眺めてため息。
携帯の写真に撮ろうとして失敗していたうちの次男。
きれいなものは心に残すんだよ、といったら「へへえ」と言われた。
クサかったですね。すいません。

ということでお月様シリーズ第2弾。
北村薫さんのとても可愛い、心がほのぼのする短編集です。
このお話は、さきちゃんという小学校三年生の女の子と、そのおかあさん
との会話や、ちょっとした出来事を短編の形で綴ったもの。
このお母さんは、「お話を作るひと」。そして二人暮らしです。
どうして二人暮らしになったのかは語られない。でも、多分そこには
なにか二人にとって辛いことがあったに違いない。
そこを乗り越えて、二人はとても今の生活を大切にしている。
そのちょっとした影が匂うところが、またこの物語の深みを
かもし出している。

この二人は、親子であると共に、「同志」なんだな。
毎日を、上質に丁寧に暮らしていくための「同志」。
さきちゃんの問いかけ、質問、一つ一つにお母さんはゆっくりと、
ユーモアを交えて答えていく。そこからお話が広がる。
二人で作ったイメージをゆっくり発酵させて、小さな事件や
花、犬や友だちに対する気持ちが心にしまわれていく。

「ダオベロマン」というお話が好き。
近所のちょっと怖いドーベルマン。
お母さんは本当は犬が苦手なんだけど、決して「イヤね」
とかは、言わない。その犬が「日本犬の書道選手権」に出場する
お話をこしらえてしまう。書道選手権で自分を「ダオベロマン」と
書いてしまって失格になる犬の姿に、さきちゃんは「かわいそう」
なんて思ってしまう。苦手なものもちょっと見方を変えて眺めて
みる、そんなやり方を覚えるだけで、きっと人生は違ってくるだろう。
それをさりげなくやってしまうお母さんは、すごい。

こんな風に子どもを育てられたら素敵だな。
自分のがさつな子育てを振り返って、ちょっと悲しくなる。
忙しい、ということにかまけてこんな小さな喜びを
積み重ねることに怠慢になってしまうと、心が疲れてしまうんだよね。

さきちゃんもこれから大きくなって、少女に、そして大人になっていく
のだけれども、そこには何度も大波が打ち寄せたり、落とし穴が
待っていたりするのだろう。でも、きっと彼女は大丈夫。
こんな風に小さいときに宝物をたくさんもらった子どもは、
ちゃんと自分でいきていく力をそこから貰えるに違いない。


新潮文庫の後書は、梨木香歩さん。
さすがにこの作品の核心をきっちりと捉えて、見事に具体化して
おられます。これを読むのも楽しみの一つ。
なんだか日常に疲れたときに読むと、心が洗われるような
気持ちになる、優しい本。

おいしい本箱 → http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=000525

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
月の砂漠をさばさばと*北村薫
☆☆☆・・ ...続きを見る
+++ こんな一冊 +++
2005/09/19 09:37
月の砂漠をさばさばと/北村 薫 [Book]
 北村 薫:著/おーなり由子:絵  『月の砂漠をさばさばと』  月の砂漠をさばさばと北村 薫,おーなり 由子新潮社このアイテムの詳細を見る ...続きを見る
miyukichin’mu*me*mo*
2007/09/17 13:30

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
 さきちゃんのお母さんは、
 お話をつくるのが上手いですよね!
 仕事柄とはいっても、子どもの目線でつくれるのって、
 すごいです。
 (つまりは北村さんがすごいってことですが^^)
 お母さんがけっして面倒がらずに
 さきちゃんに答えてあげてるのも
 とてもよかったですね。

 http://blog.goo.ne.jp/miyukichi_special
miyukichi
2007/09/19 21:40

コメントする help

ニックネーム
本 文

記事一覧

月の砂漠をさばさばと 北村薫 新潮文庫 おいしい本箱Diary/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる