おいしい本箱Diary

アクセスカウンタ

zoom RSS 図書館戦争 有川浩 メディアワークス

<<   作成日時 : 2006/03/30 23:35   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 9 / コメント 3

画像これ、文句なしにハマりました。
もう直接有川さんに電話して「面白かったッス!」
と報告したいほど、ツボにはまりました。
自分が図書館で働いているせいもあると
思うんですが、この「図書館」プラス「戦闘」という
おそろしくぶっとんだ設定にまず度肝を抜かれ、
しかもそれが「図書館の自由」という
公共図書館の大原則が根拠になっている、というところに
しびれました・・。

ネタばれあり。気をつけて・・。
でも、このネタばれは初めからもうすぐわかるんで、
まあいいようなもんかと思いますが。

笠原郁は、新人図書隊員として訓練中。
昭和最終年に成立した「メディア良化法」により、
メディア良化委員会は、あらゆる出版物の検閲・取締り
を始めた。テレビ局、出版社、販売店などは
抵抗権をもたず、なすすべがない。唯一「図書館の自由法」
を持つ公共図書館のみが、その良化委員会と対峙、
取り締まりをエスカレートさせる同委員会と歩調を
あわせて専守防衛ながらも武装することとなった。
その抗争は激化し、「日野の悪夢」といわれる
襲撃事件を期に、図書館側の防衛能力は一層高まる
こととなる。その過酷な防衛員に、女性でただひとり
志願した郁。彼女は、昔買いたかった本をメディア委員会
の襲撃で奪われそうになったとき、彼女を救ってくれた
図書館防衛員にあこがれて志願したのだった。
はねっかえりで、一途で、向こう見ず。
そんな彼女をビシビシ鍛えるのは、堂上篤二等図書正。
その厳しさに反発しながらも、筋が通り、男らしい堂上
と郁は、だんだんと信頼関係を築いていく・・。

ね?凄い設定・・。
有川さんは「ザリガニが出てこないから普通」なんておっしゃいますが、
これのどこが普通なんですか?(爆)
図書館と自衛隊のような軍隊を結びつけるなんて、あなたくらい
のもんです。しかし、その目のつけ方は、こうやって書かれてみると、
なんとも見事!ちなみにこの図書館防衛員という発想の元になったという
「図書館の自由に関する宣言」(1954年採択 1979改訂)を挙げて
おきます。

図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする。
この任務を果たすため、図書館は次のことを確認し実践する。

第1 図書館は資料収集の自由を有する
第2 図書館は資料提供の自由を有する
第3 図書館は利用者の秘密を守る
第4 図書館はすべての検閲に反対する
図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。


これは司書の勉強をする時に、必ず何度も繰り返し
覚えなければならないことであり、図書館という知的財産と国民の「知る権利」
を守るための大原則です。これを始めて読んだときは、とても誇らしく、感動
したことを覚えています。民主主義の根幹である自由と権利を支える
という根幹に図書館が存在すること。歴史や実際に知る権利が弾圧されている
国の状況を見ても、まず弾圧されるのは出版物です。
その砦として、図書館はどこからも自由を保つ必要がある。
資料の収集をはじめ、たとえば利用者の情報も、司法にも漏らさない・・。
実際の現場においては、例えば差別図書の扱い、性表現、つまりわいせつ
という線をどこで引くのか、犯罪者の個人情報の扱いのばらつき、など
多々の問題もはらみながら、やはりこれは図書館員が肝に銘じるべき
おおきな原則です。こんなことを、図書館を利用される方はしっておられる
のかしら?多分興味もない方がほとんどだと思いますが。
一度全文を読んでほしいなあ・・。

こんな風に言論が弾圧されることなんて、ないよ・・。
なんて思ってしまいそうになるんですが、実際に戦時中は
そうだったし、戦後もそういう動きがあったことから、この
「図書館の自由」は宣言されているわけで、この本に
書かれていることは、決して絵空事ではないかもしれない。
本当に、こんなことがまかり通る世の中になってほしくない。
しかし、この物語にも書かれているように、「無関心」という
こわい病が蔓延している限り、この怖れはなくならない。
これだけインターネットが発達し、個人情報の流出や他人に対する
はてしもない誹謗・中傷がまかり通っていることも、
ひるがえれば自分達の首を締めているのと同じことかも
しれない、という認識が各人にあるのかどうか。
「言論・出版の自由」というものが、まだまだ未成熟な、
大きな課題をはらむものだ、ということをわかっておかなければ・・。
と、この本を読んでまた痛感しました。
まあ「図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。」
という時に、武装はいくらなんでもしないでしょうが。
「武装なんて・・・」というご批判も良書主義のかたからは
出そうですが。私は気になりませんでした。
武力というもののコワさ、力で対抗しあうことの空しさも
有川さんはよくわかって書いておられるような気がします。



・・・ということを考えつつ、エンターテイメントとしてもこの物語は面白い。
この郁という女の子のまっすぐさが、まぶしいくらいですよ!
「好きな本を好きに読みたい」という、あたりまえのこと。
それを踏みにじられそうになった時に、助けてくれた人に対する
純粋な憧れと尊敬が、彼女の行動理念になっている、それが
とても読んでいて気持ちいい。そして、そんな彼女を見守り、
成長させていく、堂上のいい男っぷりったら・・。
郁は憧れの王子様の顔を覚えていないんですが・・。
ま、みなまで言うまい。「味ない、味ない・・。」と鬼平に
なっちゃいますが(爆)この二人の結びつきが、男と女を越えて、いや
男と女だからこそのピュアな清廉さをたたえていて、読んでいて
そこに激しく萌えます。・・・て、読むほうは不純なんですが。


戦闘シーン、そして自衛隊並みの訓練の描写などは、
有川さんらしい、ハラハラドキドキの面白さ。
ぶっとんだ設定と、この緻密さが有川さんの魅力です。
そして、やはり一貫したヒューマニズムが物語を深くしています。
最近読んだものの中では、出色の面白さ。
やられた〜!

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=0001039








テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(9件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
有川浩 『図書館戦争』を読む
「図書館戦争」有川浩/著(メディアワークス刊) 一、図書館は資料収集の自由を有する。 二、図書館は資料提供の自由を有する。 三、図書館は利用者の秘密を守る。 四、図書館はすべての不当な検閲に反対する。 図書館の自由が侵される時、我々は団結して、あくまで... ...続きを見る
怪鳥の【ちょ〜『鈍速』飛行日誌】
2006/03/31 23:57
● 図書館戦争 有川浩
図書館戦争有川 浩 メディアワークス 2006-02by G-Tools , 2006/04/05 ...続きを見る
IN MY BOOK by ゆうき
2006/04/06 23:08
図書館戦争 有川浩
図書館戦争 ...続きを見る
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書...
2006/09/19 23:43
「図書館戦争」有川浩
タイトル:図書館戦争 著者  :有川浩 出版社 :メディアワークス 読書期間:2006/10/16 - 2006/10/18 お勧め度:★★★★★ ...続きを見る
AOCHAN-Blog
2006/11/07 14:26
有川浩【図書館戦争】
血や涙や汗は本の中だけ、平和で静かな読書人たちが集う図書館で、「戦争」とは何ゆえに!? 表紙イラストからして穏やかならぬこの本は、読んでみれば胸キュンの一大エンタテインメント小説であった。 ...続きを見る
ぱんどら日記
2006/11/13 14:30
有川浩『図書館戦争』
有川浩『図書館戦争』 メディアワークス 2006年3月5日発行 ...続きを見る
多趣味が趣味♪
2006/11/13 22:23
図書館戦争
********************************************************************** 公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として 『メディア良化法』が成立・施行された現代。 超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館! 狩られる本を、明日を守れ! 敵は合法国家機.. ...続きを見る
気楽に♪気ままに♪のんびりと♪
2007/02/19 14:41
図書館戦争 有川浩 (本を守る正義の見方★)
あちこちで評判の 『図書館戦争』。 気になってしょうがなくって、とうとう文庫化を待ちきれずお買い上げ(^^;) でも期待を裏切らない内容。 すっごくおもしろかったぁ〜{%uttori%} ...続きを見る
白ブタさん
2007/03/13 23:25
「図書館戦争」有川 浩
図書館が好きです。本屋の店頭で「図書館内乱」というこの本の続編のタイトルに惹かれました。で、あわてて図書館に予約してみたら、1作目は「図書館戦争」ということがわかり、予約しなおし。 ...続きを見る
デリシャスな本棚
2007/05/05 10:40

コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちはー。TBありがとうございました。
私の文章のほうが、ずっと短くて内容は薄いですが、
感想としては、似たことを書いてますね。嬉しいです。
私も図書館で働いていたことがあります。契約でしたけど。
ラブコメとしても面白かったけど、
図書館で働くって、やっぱいいよなあと、思った本でした。
では!
ゆうき
URL
2006/04/06 23:06
こんばんは。
図書館で働くERIさんにはさらに面白い作品だったのでは?と思いました。
私も“図書を守るための図書隊”という発想はとても面白かったです。
ただ主人公の郁の性格設定が・・・うーん・・・。
その辺りがイマイチ共感できず残念でした。
コバルトとかで丸っきりライトノベルとして出してもらえれば、
全然文句なく読めたと思うんですが・・・。
tomekiti
URL
2006/11/13 22:34
>tokimekiさん
こんばんは!!郁ちゃんの性格は、かなり極端に描かれていますね、確かに・・。「図書館内乱」でも、それは変わらず。おばちゃんは、若い子というだけで点数が甘く、「ま、可愛い可愛い」と許してしまいました(爆)自分にない部分だから、余計に甘いかな。私はつい色々考えて引いてしまいがちなんで。少しうらやましくもありますよ。
ERI
2006/11/14 21:38

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文

記事一覧

図書館戦争 有川浩 メディアワークス おいしい本箱Diary/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる