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zoom RSS 四度目の氷河期 荻原浩 新潮社

<<   作成日時 : 2006/11/09 22:27   >>

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画像「自分は普通じゃない」と思うところから、47億分の一としての
自分自身にたどり着くまで。一人の少年が、大人になるまでの、軌跡。
・・・ということになるのかな。その時期を、「自分が、クロマニヨン人の子供だ」
と思うことをアイデンティティとした男の子の話です。

自分には、どうやら父親がいない。
そして、髪も、目の色も、薄い。
やたらに、体が大きい。力も、並外れて強い。
体の中に、活力があふれて仕方がない。
なんとなく、民俗学でいう「マレビト」を思い出してしまいましたね。
自分たちの共同体の外から、やってくるという異人。
自分は特別なんだ、という強い強い異端の思いが、クロマニヨン人という
普通なら考え付かないものと結びついたところが、面白いですね。
しかし、そのはじかれ方が、ちっさすぎて、いやになります。
お絵かきの時に、皆と違う色を塗ってしまうのがヘン、とか。
こんな事をいうんかなあ、今でも。子供の書く絵を見て、その情緒を
さぐる、というのは心理学の一つのやり方なんかもしれんけど、
生半可な知識でそれをやると、かえっておかしくなるんじゃ・・。
と思ったりします。

この、主人公のワタルにずっと付いてまわる、
自分の体と心のアンバランスさをもてあます感じが面白かった。
これって、多かれ少なかれ、男の子なら感じることなんでしょうね。
体だけ、急に変化していく。自分をおいてけぼりにして・・。
この激烈さって、女子とはちょっと違うもんですねえ。
女子には生理というものがあって、それが一応第二次性徴のしるし、と
いうことなんですが、これがやたらに面倒くさく、不快で、痛くて、うっとうしい。
初めてそれが来たときは、ほんとに憂鬱になったのを覚えてます・・。
なんだか、自分の中にしんどいもんができちまったなあ、という感じ。
自分の意志とは関係なく、というのは一緒なんですが、そのベクトルが
反対なような気がします。

その彼が、陸上に出会い、サチという女の子と出会い、母との別れを
経験し、本当の父親に会いにいく・・。
そのあたりは、けっこう定石通りな展開です。
どこか間が抜けてるこのワタル君は、なかなか愛すべき男の子。
時々クスっと笑いながら、楽しめました。
自分がこの地球で、ただのちっぽけな人間である、と知ること。
そこから、一歩が始まる。

少し内容に比べて、分量が多いような気がしましたが、荻原ファンには
それもまた楽しいのかも。ワタル君は、しっかりしたサチちゃんにお尻に
しいてもらって、いいお父さんになれそうやな。うん。
ふらふらする男の子を、地上につなぎとめるのは、女の役割ですね(爆)


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四度目の氷河期*荻原浩
☆☆☆☆・ 四度目の氷河期荻原 浩 (2006/09/28)新潮社 この商品の詳細を見る 人生を語るには、早すぎるなんて言わせない。ぼくは今日から、トクベツな子どもになることにした―何をやっても、みんなと同じに出来ないワタルは& ...続きを見る
+++ こんな一冊 +++
2006/11/10 06:47
● 四度目の氷河期 荻原浩
四度目の氷河期 荻原 浩 ...続きを見る
本を読んだら・・・by ゆうき
2006/11/11 01:04
四度目の氷河期 荻原浩
装幀は新潮社装幀室。 1997年「オロロ畑でつかまえて」で第10回小説すばる新人賞を受賞デビュー。2005年「明日の記憶」で山本周五郎賞を受賞。主な作品「ハードボイルド・エッグ」「噂」「メリーゴーランド」「僕& ...続きを見る
粋な提案
2006/11/11 03:08

コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
「クロマニヨン人」というところが、ものすごく突飛な気がしてしまうけれど
普遍的なことが描かれている作品でしたね。
肉体的にも精神的にも男女の特性がよく現われていると思いました。
ワタルとサチの関係にも、ワタルの父と母の行動などにも。
ふらっと
2006/11/10 06:46
>ふらっとさん
こう・・非常にまっとうな物語でした。少年が大人になる、ということ。
体と心のアンバランスな、思春期。そして、男と女・・・。
戸惑いながら、時に間違えたり、傷ついたりしながら、自分の道を歩いていくワタルくんが、愛しかったですね。サチちゃんも可愛くて、この恋人たちが幸せになることを祈らずにいられない、お母さんの心境です(爆)
ERI
2006/11/11 00:22
こんにちは。少年が大人になることと、少女が大人になることって、そういえばずいぶん違いますよね。現実では個人差のほうが大きいのかもしれませんが、小説の中では、少年は早く大人になりたがり、少女はずっと少女でいたがる、そんな気がします。・・・なんか本の感想とそれたコメントですみません(笑)
ゆうき
2006/11/11 01:07
コメント、トラバありがとうございます。反映、書き込みは少しお待ちください・・。仕事が立て込んで、ブログ運営に支障が出ています・・。お体、良くなられたみたいで安心しました。私も十二指腸潰瘍になったので、なるべくストレスを貯めないように心がけています。
ワタルが変化に戸惑い、誰にも相談できず、アイデンティティをつかむためのクロマニヨン人にびっくりでしたけど、悲しみやつらさが伝わってきました。ワタルとサチの出会いから物語が好転し始めて、ふたりのやり取りや三文字合戦、南山家防衛フォーメーションが楽しかったです。かけがえのない自分、かけがえのない相手を見つけられた幸せを忘れずにいて欲しいですね。
藍色
2006/11/11 03:08
>ゆうきさん
少女・・というか、女は小さい頃から、ある意味大人だからかもしれませんねえ・・。それがわかってるから、自分の中の「少女」を無くすまいとするのかな。その反面、男の人は、ある意味いつまでも子供ですから・・。
だから、「大人」にあこがれちゃうのかもしれませんねえ・・。

>藍色さん
おっ!!潰瘍仲間ですね(そんな仲間はありがたくないですが)
ワタル君、可愛い子でしたねえ。(息子目線)自分の子やったら、むっちゃ
からかって遊んでるかもしれません・・。サチちゃんとのコンビは微笑ましかったですね。
ERI
2006/11/12 00:53

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