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zoom RSS 天才たちの値段 門井慶喜 文藝春秋社

<<   作成日時 : 2006/12/13 22:42   >>

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この作家の作品をはじめて読んだんですが・・。って、なんとこれがはじめての
単行本、デビュー作らしいですよ。
これが、ほんとに面白かった!!しまった、昨日やった今年の、ミステリー
自分ランキングに入れたらよかったあ、と思いましたわ。
最近美術作品、または骨董に関するミステリーって多いんですが、
その中でも出色の出来だと思います。


ある資産家のところに秘蔵されていた、ボッティチェッリ作のものだと
いう絵画。ディオニュソスを描いたその作品は、本物なのか?
舌で美術作品の真贋を感じるという神永美有という男が、それを
大金を出して買うという。その作品に疑問を感じる大学の教員・佐々木
は神永の論に異を唱える。その真偽は?


短編が五つ入っているんですが、どれも非常に凝った作品ばかりで。
ボッティチェッリ、モラエス、涅槃図、フェルメール、ガラス工芸に陶器と
様々な題材を扱いながら、マニアックなところに切り込んでます。
そのマニアックさと、「舌で甘さを感じる」という、官能の部分がうまく
かみ合っている。マニアックなだけでもなく、感覚だけの議論でもなく、
その二つを結びつけていく手腕が見事です。
図録を見ただけで、展示してある作品が偽物であることがわかるという
神永のカリスマ性に、佐々木と共に、引き込まれてしまう。
謎が二転三転していく面白さと、美術作品というものに人が寄せる
憧れと欲というものが余すところなく書き込まれています。
たまたま「芸術新潮」の「クリムト」の特集を見ていたんですが、
そのオークションに出された代表作に155億円!!
155億・・という金額なんて想像もでけへんわ・・(いきなり大阪弁)
クリムトは大好きで、昔「ユディトー」の切り抜きを下敷きにはさんでいたり
したもんですが(いつの話しやねん!!)155億を出しても所有したいという
熱意ってね・・。まあ、財産を買うという面もあるんでしょうが、やはり
底にあるのは「美」を所有したいという生(なま)の欲望なんかも・・。
画商やコンサルタントって、その欲望と、芸術の二つの間をうまく
すりぬけていかなくてはいけない、スリリングなもんなんですね・・。
病み付きになるでしょうね、深みにはまったら。
ありとあらゆる知識と感性を総動員させる、その仕事の面白さが、たまらん魅力
に思えますね、こういうの読むと。

神永の魅力に惹かれて、段々彼に深くはまっていく佐々木が、危なっかしいな
と思って読んでいたのですが、最後でちゃんと自分の行くべき道の扉を
あけるんですね。良かったわあ、って私が言うのもなんなんですが。
友人、といいながら、二人の力量は全く対等ではなかったからねえ。
このままじゃ、佐々木先生、神永のお付きのものみたいやん、と
思ってしまったんですが。京都で修行して、大物になって、神永とまた
謎解きしてほしいですわ。
これは、美術が好きな人にも、ミステリー好きにもオススメの一冊です。

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