昨日、これを読んで、この物語の世界にガツンと頭を殴られて寝られなくなり、今日は寝不足で疲れました・・(爆) この本が出版された経緯については、岩波書店の紹介をそのままお借りして・・。 イギリスのカーネギー賞作家ロバート・ウェストール(1929-1993)の作品集。収録されるのは、「ブラッカムの爆撃機」「チャス・マッギルの幽霊」「ぼくを作ったもの」の3編に、晩年(6年間)著者と生活を共にした女性リンディ・マッキネルによる略伝「ロバート・ウェストールの生涯」。 その宮崎駿さんの思惑にまんまと乗って、この本の扉を開いたのですが、そこに あったのはなんともリアルで深く凝縮された生と死の世界でした。 読み初めたらやめられず、親父やゲーリー、マット、ポール、キット、ビリーと 夜の空を低空で飛び続けていた。自分の命と恐れと、連帯感を抱きしめながら。 この男達の置かれていた極限状態に、もし自分がいたら。 闘うことの悲痛をここまで焼き付けてくれる物語は、そうないだろうと思う。 舞台は第二次世界大戦中のイギリス。対ドイツへの爆撃を行う航空連隊の中の 一機を受け持つクルー達の物語。語り役は、通信手のゲーリーだ。 新米ぞろいのこの機を率いるのは、アイルランド人で、百戦錬磨の強兵、タウンゼント親父。 ほとんどの飛行気乗りがすぐ命を落としていく中で、たった一人3クルー目に 突入している、頼りになる男。一戦ごとに強い結束を結んで夜を自在に飛び回る ウィンピー爆撃機。(この飛行機については、巻頭のマンガで宮崎氏が克明な図を つけておられるので、まざまざとその光景をまぶたに描くことができる。) その飛行機内でのやりとりや、旋回しながら自在に空を切り裂いて飛ぶ様子は 読んでいて非常にリアルで胸がドキドキする。空を舞う、というロマン。 しかし、そのロマンは「戦争」のもたらす残酷さで粉々に砕かれてしまうのだ。 物語は、ある戦闘の夜に彼らが遭遇した恐ろしい出来事から不気味な様相を帯びる。 同僚の、殺戮が大好きな男、ブラッカムが率いるウィンピーが、ドイツの戦闘機ユンカース を一機撃墜する。間近でそれを見たタウンゼント機。焼け落ちるコックピットの男の姿を目の当たりにし、インターカム(無線機)からは、その男が焼け落ちていくときの様々な叫びが ずっと聞こえてくるのだ。そのあまりの恐ろしさに凍りつくタウンゼント機。 しかし、同じインカムからは、ブラッカムたちの「焼け死んじまえよ、ほら、焼け死んじまえ!」 というあざけりの笑いが聞こえるのだ・・・。 ところが、次の爆撃に赴いたとき、ブラッカム機は謎の事故に会う。 飛行機にはかすり傷一つないのに、クルーは全員殺されるか自分から機から飛び降りて 死亡。ブラッカムは気が狂い、そのままになる。そして、その機に乗ったクルーが 次々とのろわれたように死んでいく。タウンゼントは、これ以上同僚が死なないように 自分がその機に乗るという。そして、そのブラッカム機で爆撃に赴いたクルー達が 聞いたものは・・・・。あの恐ろしい夜にインカムから聞こえたゲーレンの、いつまでも 続く叫び声だった。 この悪夢のような夜の光景は、読むものを圧倒する。 それは敵や味方という枠を超えて、目の前で命が燃え尽きていくということへの 恐怖。「ハイル・ヒットラー!!」「ママ、ママ・・」と叫びながら焼かれていく 若い命と体の痛みと生きたいという思いが、脳髄を貫いていくようだ。 焼かれて死んでいったゲーレンと、タウンゼント機の連中には、どれほどの差もない。 それぞれ自分の国と誇りを守るために闘っているだけなのだ。あまりにもはかない 肉体と命を抱えて・・。その誇りと勇敢さをあざ笑ったタウンゼント機にふりかかる 呪いは、命への敬虔な気持ちを失ったものへの狂おしい怒り。 こりゃ、気が狂うよな、というほどの恐ろしい体験に身も心もボロボロになる タウンゼント機のクルー達。しかし、彼らが他の飛行気乗りのように その呪いに屈しなかったのは、頼もしい親父がいたからだった。 生と死の淵を何度もくぐってきたタウンゼント親父は、あの恐怖の一夜にも たった一人正気だ。それは、彼が何十回もの爆撃で、数限りなく失われる命を 見てきたからに違いない。ゲーレン機が落ちた日の朝、なんとも耐えられない 思いのクルー達を連れて、親父は近くの農家に出かける。 ささやかな、美しい光景。小鳥の声と、いい匂いのする森。 人間が当たり前に受け取るべき祝福に、彼らはやっと自分の魂を取り戻す。 なぜ、闘うのか。反吐を吐き、命を爆撃にさらし、なぜ闘うのか。 そこには、自分と同じ人間しかいやしないのに・・・。 しかし、その闘う、という一点に、その時の彼らの真実があるのも確かなのだ。 その残酷さに対する厳しい目線と、闘う勇気への敬意。その勇気を共有する 仲間との友情と連帯感は、この厳しい人生の中に残っている希望だ。 親父はブラッカム機にいる亡霊と長い会話と交わす。 その会話は書かれていないのだが、きっとそこにあった同じ飛行気乗りとしての 共感が、ゲーレンの心をいくばくかは慰めたに違いない。 彼らは、ブラッカム機を焼き、その時に出合った黒い子犬にゲーレンと名をつけて 一緒にまた新しい任務に旅立つ。 「こいつは死んだし、おれたちも死んだ。そしてこいつは生きているし、おれたちも生きてる。 こいつはおれたちといっしょに飛ぶんだ。出撃のたびにな。」 この親父の言葉に、全てがありますね。宮崎さんの映画「紅の豚」の「いい奴は、皆死んでいった」(だったかな)というセリフを思い出します。 人生も、戦争も理不尽だ。生きていくことは不安と残酷さに満ちているし。 しかし、その中にある希望や、人と人を繋ぐ暖かいもの、心に沁みる優しさが どれだけの美しさに満ちているのか。この物語に旅したあと聞いた音楽は、 かけがえのない美しいものとして心に満ちました。 人生のギリギリにいるときに、そこから笑って一歩踏み出すときの 勇気になるような。そんな物語だと思う。 前後に書かれている宮崎駿さんのマンガが、ウェストールへの深い敬意と 理解に満ちていて感動です。「チャス・マッギルの幽霊」「ぼくを作ったもの」 については、明日にでも。 おいしい本箱 → http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=001163 |
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宮崎 駿 ジブリ 大好きです! 宮崎 駿 新作は 崖の上のポニョ
宮崎駿監督(66)の新作(08年夏公開予定)が19日、都内でスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー(58)から発表された。04年の「ハウルの動く城」以来の劇場公開作となる。 タイトルは「崖の上のポニョ」。人間になりたいと願う金魚の姫ポニョと、5歳の男子・... ...続きを見る |
芸能 新聞 タレント ウェブログ★芸能 ... 2007/03/20 09:07 |
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