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zoom RSS 中庭の出来事 恩田陸 新潮社

<<   作成日時 : 2007/01/14 22:33   >>

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画像「チョコレートコスモス」に引き続いての、演劇がテーマの
ミステリー。

「中庭にて」「旅人たち」「中庭の出来事」という三つの物語が
複雑に交錯したり、絡みあったり、かなり複雑な構造になっている。
三人のタイプの違う女優を柱に、彼女達と親しい著名な脚本家が
絡み、彼の書いた芝居と、そこで起きる殺人事件、そしてその脚本家が
殺された事件、その事件を追う刑事、山奥の廃線になった駅を利用した
劇場を舞台にした幻想と演劇・・・・。ぐるぐると巡る回廊がどこに繋がって
いるのかわからないままに、ひたすら歩いていくような感覚。
時々ふっと出た外には、ぼんやりした霧がたちこめているか、行き止まり。
あれれ、困ったなあ、とまたやみくもに、回廊を歩く・・・・・。

どこまでが現実でどこまでがお芝居なのだか明かされないままに物語が
進み、やっと探偵役が出てきたかな、と思いきや、それもくるっと入れ替わる。
最後のオチまで読むと、一応の解決はついているようなものの、やはり
うまくしてやられた、もしくはうまくはぐらかされたという感じです(爆)
演劇、という三次元の空間芸術を、文字だけで書き起こそうとしたら、
こうなった、ということなのでしょうか。入れ子のように複雑な構成で、
頭の大分ぼやけてる私にどこまでこれが理解できたのか不安ですが、
これはきっと、こうやって眩暈のような幻惑の中でうろうろと彷徨えば彷徨うほど
恩田さんを喜ばせることなのかもしれませんね。

で、これを読んでいる間中、「女優」というものについて考えていました。
「女優さんになりたい」というのは、女の子ならけっこう一度は考えてみたり
することで・・。たくさんの、何万人という人が夢に見る職業。
だから、これほど入れ替わりの激しい存在もないわけで、いわゆるトレンディ
ドラマを見ても数年で全く人が入れ替わる。若さで輝く時期はほんの一時。
そこから大輪の花を咲かせるためには、ここに書かれているような様々な
営みが必要なんだろう。それは、一時の幻を見せるため。
幻の中に、人間のいろんなありのままを映し出すため。
その一回性が、演劇の醍醐味で、女優という花は、そこでしか咲かない。
私が一番忘れられない女優さんは、故夏目雅子さん。
本当に美しい方で、ずっと憧れの女優さんだった。
彼女の映画も、ドラマも、欠かさず見たほどファンだった。
「時代屋の女房」の演技ににじむ、女としてのどうしようもなさがあの頃は
わからず、でもわからないままに、その眼差しの深さと美しさに
魅了されていたのを思い出します。ドラマで、どんなタイトルだったか忘れて
しまったのですが、ちょっと頭の弱い女の子を演じておられた時があった。
それが、なんとも生まれたままのような綺麗さで。
一瞬の輝きを永遠に若いまま封じ込めてしまった彼女は、
まさに女優そのものだったんでしょうね。彼女がこの物語の中を歩くなら
どんなシーンで登場するのか・・・・。そんなことも考えて、しばしうっとり。

他の物語と並行しつつ、急ぎ気味に読んだので、どこまでこの物語の
内容が読み取れているかはなはだ心もとないんですが、とにかく
面白かった、ということで。目次もない、ということはまさに目くらまし戦法
ということなんですか、恩田さん。と、問いかけた私でした。



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中庭の出来事 恩田陸
装画は梅木英治。装幀は新潮社装幀室。 新潮ケ−タイ文庫2003年5月9日から2004年2月26日配信。 瀟洒なホテルの中庭。こぢんまりとしたパーティの席上で、気鋭の脚本家が不可解な死を遂げた。周りにいたのは、次& ...続きを見る
粋な提案
2007/01/15 15:46
「中庭の出来事」恩田陸
「中庭にて」「旅人たち」『中庭の出来事』(戯曲形式)の3つのシーンがアトランダムに入り乱れ絡み合い、そして大団円というに相応しい「中庭にて、旅人たちと共に」で幕。 ...続きを見る
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2007/01/15 20:07
「中庭の出来事」恩田陸
これはナニ?なんなの? 2章を読みはじめた時、訳がわからなくなった。 で、読み進んでも、やっぱり訳がわからない。 「最後まで読めば全部スッキリわかるハズ」と期待を持って最後まで読んだ今、やっぱり訳がわからない。 ...続きを見る
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2007/05/19 10:26
「中庭の出来事」恩田陸
タイトル:中庭の出来事 著者  :恩田陸 出版社 :新潮社 読書期間:2007/04/18 - 2007/04/20 お勧め度:★★★ ...続きを見る
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2007/06/07 22:52
恩田陸『中庭の出来事』
恩田陸『中庭の出来事』 新潮社 2006年11月30日発行 ...続きを見る
多趣味が趣味♪
2007/06/17 17:12

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
迷宮に迷い込んだような、幻想的な雰囲気のミステリ劇でしたね。すっかり迷子。どちらかというと好きなテイストだったので、どっぷり浸かれました。歓声と拍手しか反応できないはずの観客(読者)に向かって、参加を呼びかけてくる臨場感も独特でしたね。
あぁ…故夏目雅子さん。作品は少ししか見ていませんけど、ほんとに綺麗でしたよね。テレビ「西遊記」(未見)の起用に驚き、「瀬戸内少年野球段」で魅了されました。「時代屋の女房」のわからなさ、ERIさんもでしたか。…あの輝き、そのまま残ってます。今だとトレンドは仲間由紀恵さんでしょうか。最近ドラマを見ていないので、読んで当てはまりそうな女優さんが思い浮かびませんでした。キャスティングができたら、いっそう楽しめたかも、と思います。
藍色
2007/01/15 16:19
>藍色さん
最近演劇を見に行っていないのですが、このシナリオを上演したら、ぜひ見に行きたいと思いましたよ。女優さんが難しそうですが。
ミステリーと演劇のあわいにあるような、独特の面白さでしたね。

夏目さんは、とても好きで。NHKのピアニストの役だったドラマから、映画「鬼龍院花子の生涯」から、すべて見たものです。伊集院静氏と結婚しはった時の輝くような笑顔は忘れられません。「主人のパンツを繕いたいの」って、にこにこしてはった。ああ、ほんまに太陽みたいな人やなあ、とその綺麗さにとても憧れました。伊集院氏の小説「乳房」は、夏目さんの話です。切なくて、なんとも美しい短編。ぜひ読んでみてください。
ERI
2007/01/15 18:40
「文藝」の春号が恩田陸さんの特集だったので、ついつい買ってしまいました。
その中で、川端裕人さんが「恩田陸というフーガ」という文章を書かれていました。
私はバッハの「小フーガ」ぐらいしか知らないのですが、たしかにこの「中庭の出来事」は同じ旋律が繰り返し現れるフーガという感じだなと思いました。
小葉
2007/01/15 20:38
>小葉さん
「文藝」今日見てきました。(ざっとですが)
恩田さんは同世代。細かい思い出が、自分と重なります。
フーガという川端さんの例えは秀逸ですね。繰り返しながら、ドラマチックが増していく・・・。また長編がでるそうですね。
本当に楽しみです!!
ERI
2007/01/16 21:16
こんにちは。
本当に迷宮をウロウロする感じでしたね〜。
でもそれがすっごく面白かったです。
私は恩田さん特有の「????」が残る終わりってそんなに好きな人ではないんですが、これは面白かった。
私も一応の結論を見つけましたが、それが合っているかもわからないし、それよりもこの不思議な感覚がこの本の醍醐味なのではないかと思いました。
tomekiti
2007/06/17 17:16
>tomekitiさん
そうですよね、多分騙されてウロウロするほど、恩田さんはほくそえんでるんでしょうね〜♪よしよし。なんて(爆)わからないことを楽しむ。それも本の読み方の一つ。自由だ!!
ERI
2007/06/19 16:45

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