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zoom RSS ファンタジーのDNA 荻原規子 理論社

<<   作成日時 : 2007/02/23 21:20   >>

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画像「空色勾玉」や、「西の善き魔女」のシリーズで有名な荻原規子さんが
ファンタジーについて書いた本です。ファンタジーというものに対する
荻原さんのスタンス、創作していく上での姿勢、これまで影響を
うけた作品についてなど、たくさんのことを語っておられて、荻原さんの
ファンなら、見逃せない内容。また、ファンタジーというもの、漠然と
皆がファンタジーとはなんぞや、と考えているものについて、荻原さん
なりの見解を示しておられてそれも面白い。ファンタジー好き、そして
読書というものが、自分という存在に深く食い込んでいる人間には
とても共感できる内容だと思います。こういうのを読むと、つい共感して
しまって、お友達だわ、なんて間違いそうになる自分がいますね(爆)
こっちは、ただのおばちゃんや、っちゅうねん・・・。

私が面白いな、と思ったのは、荻原さんが、読書というもの、文学に
はまるようになったきっかけを、幼い頃からの、この世界に対する不安や
自分の、人とのなじめなさにおいておられるところ。
読書というものが、娯楽ではなく(楽しいという要素はあっても)
それが、荻原さんにとって抜き差しならないものであったということが、
私には「腑に落ちる」のである。


・・しかし、そういうわたしだから、いまだに他人に読書を薦めることが
苦手なのだ。本を読んだから偉かったと思えたことは、今まで一度も
なかったのだ。


こんなブログを書いていながら、「おいしい本箱」という読書サイトまで持っていながら
これは、そのまま私の本心そのものやなあ、と思います。
「たくさん本を読んで凄いね」とか言われるたびに、なにやら恥ずかしくてたまらん
気持ちになってしまうのは、読書というものが、単なる趣味ではなく、自分の無意識や
自我のあり方などと密接な関係となって結びついているからだと思うなあ。
こんなに面の皮が厚いおばちゃんになってしまいましたが、昔は非常に繊細で(爆)
いつもどこか、この世の中となじめない自分がいたので・・。
自分の坐る椅子を、ずっと探して本を読んできたところがあります。
思春期、私はその椅子をファンタジーではなく、いわゆる日本の近代小説に
求めてずっとさまよっていたので、そこから荻原さんとは少し傾向が離れてしまうの
ですが、根っこの部分は同じやったんやなあ、と・・。

まあ、私のことはおいといて、優れた文学、というものが、その根っこをたどれば、
本当に個人的な、その人だけの心のあり方に帰結していく、ということが、
ごくごく当たり前のようでいて、ゆるがせにできない真実であるような気がするんですよね。
一見ファンタジーと結びつかないように思われる、この「自己と向き合う」という
姿勢が、自分の心の奥底をたどり、そこに隠れている人間という存在そのものについての
考察を深めるということに繋がると思うんで。そうして旅した結果、自分を含めた人間がずっと
心の奥底に持ち続けている、神話という水脈をたどるところから、荻原さんは
ファンタジーを書き始める。それは自分の生まれた土地、国、そこに積み重ねられた
人間の思い、という背景と、今そこに生きている人間との関わりを探る旅。

神話を創造した太古の昔から変わらず、わたしたちは、世界と自分との関係性を
いつになっても欲しているものではないだろうか。、エンターテイメントの現場で
手を変え品を変え、本質は同じ物語が求められる理由は、そうとでも捉える
しかない。


これは、言い換えれば、世界と自分との関係性というものが、どれだけ追っても、
どれだけ書こうとしても、書きつくせない答えのないことであり、わかったと
思っても、すぐさま掌からすり抜ける捉えがたいことだからなんでしょう。
なぜ人は、人として生まれてくるのか。
自分が、今、ここに生きている意味とは何か・・・。
その永遠の不思議と謎を、ファンタジーという、より自由な、時間も空間も飛び越える
可能性を持つジャンルで書き綴っていこうとする荻原さんの姿勢が、王道だな、と
思う。ファンタジーがもてはやされるようになって久しく、たくさんの
ファンタジーを読むんですが、どうも心に深く食い入ってくるもの、というのは少なくて・・。
それがなぜなのか、優れたファンタジーとは何なのか、その一つの方向が
ちょっと見えた気がするこの著書。ファンタジー好きなら、ぜひ読んでおくことをオススメします。
荻原さんが影響を受けた作品、好きな作品についてもたくさん語っておられて、
幼い頃に浸ったモンゴメリや、ロビンソン・クルーソーから、ル・グゥインや、C・S・ルイス、
トールキン、佐藤さとるさん、ゴッデン、などまで、その物語についての解釈を読む
のも面白い。そして、何よりご自分の著作について語っておられることを読むと、
ああ、と納得できることが多く、ファンとしては嬉しいかぎりです。


おいしい本箱  http://www.oishiihonbako.jp/detail.php?book_no=001184






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