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zoom RSS あかりの木の魔法 (こそあどの森シリーズ) 岡田淳 理論社

<<   作成日時 : 2007/06/08 18:06   >>

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大好きな岡田さんの「こそあどの森」シリーズです。
平和で、おだやかに時が流れていく「こそあどの森」にも、
ちょっとだけ世間の風が吹いている。

双子の家のある湖のほとりに、ある日一つのテントがたっている。
それは、自称怪獣学者の「イツカ」という男。彼は、元々カワウソ
を使って芸をしていた腹話術師。・・怪獣学者と名乗っているが、
その正体は・・?

ポットさんと、トマトさんが、子供をさらう悪いやつの話をしているんですよね。
そして、ポットさんは、どこから来たのかわからないイツカを疑い始める。
(疑った割りにころっと騙されるのが、ポットさんのいいところなんですが)
このイツカという人物。実は、スキッパーが先日ぬまばあさんから貰った
真紅水晶を狙っている。幼い頃に両親をなくし、ずっと人に虐げられて
生きてきた男・・。宝石でお金持ちになって、人生の一発逆転を狙っているという。
そのイツカが、こそあどの森の皆に、自分の身の上話をする。
もちろん皆をだます積もりなんだけど、そこには、やっぱり真実が混じってしまうんです。
幼い頃に見た、「あかりの木」の思い出。
クリスマスのキャンドルのようなもので、子供の成長を祝って飾るものらしい。
幼い頃に、誰のものよりも大きく、七色に変化する燃え上がるようなあかりがゆらめく
木を、両親と見た、たった一つの幼いころの思い出・・。
それが本当にあったことなのか、そんなあかりの木があるはずはない、と
思い,信じられないままに生きてきた日々・・。

首尾よくイツカは、赤子の手をひねるように、水晶を手に入れるんですが、
ここからが、こそあどの面々の面白いところ。
いつもの、お見通しのバーバさんの手紙から、事態は急展開します。
あかりの木の魔法・・正体がわかったのです。
それは、燃え上がる命の炎。
たくさんの蛍たちの集う、愛の交歓の灯り。
素数の関係で(7年蝉と同じですね)42年に一度だけ、異常発生した蛍たちが
繰り広げる命の色の曼荼羅です。
それが、丁度こそあどの森の湖で、イツカも含めたこそあどの森の面々の前で
燃え上がる。このシーンの美しいこと。命の彩りの鮮やかなこと。
岡田さんの筆が冴えます。こんな命の喜びを書かせたら、ほんとに一級品の優しさ。
読んでいる間中、うっとりでした。

その光景を見て、イツカに、昔の記憶が蘇ります。
確かに、自分は両親と一緒に、その光景を見た。
そのとき、確かに自分は愛されていた。その確信。
その思いがイツカの胸に堕ちてきたときに、イツカの心に、優しさが戻る。
たった一つの愛で、人は優しさを取り戻すことが、できる・・。
イツカは、真紅水晶をスキッパーに返します。スキッパーは、取られたことにも
気づいていないんですけどね。
そして、そのイツカの心に、いつのまにか優しさのくさびを打ち込んでいたのが
自分だということにも気づいていない。「ぼく、イツカさんみたいになりたいです!」
心からイツカを信じて、尊敬するスキッパーの眼差しに、イツカは知らず知らず
影響されていたはず。愛を投げかけられた心が、思わず反応してしまうんですね・・。

岡田さんらしい、優しい、素敵な物語。
でも、この中に、私は岡田さんの苦渋の後を見たような気がします。
子どもに・・人を信じるな、絶対に気を許すな、っていわなければいけない時代。
そんなこと、いいたくなくても、実際に恐ろしいことが日常にぱっくり口をあけて
待っている、その現状に、大人は子どもに言い聞かせるしかない。
人に気を許すな、と。人を信じてはいけない、と。
この物語の中では、信頼が人の心を救っている。
本当はこうありたい・・。その願いが、この物語に込められているように思って
ちょっと切なかった。そう、本当はこうありたい。御伽噺かもしれないけれど、
この願いは忘れてはいけないな、と。こそあどの森は、私たちの願いを飲み込んで
今日も美しいです・・。

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「あかりの木の魔法」岡田 淳
おいしい本箱Diaryでこの本に出会い、表紙のスキッパーとカワウソのかわいらしさに惹かれて「読みたい!!」と、「ふしぎな木の実の料理法」から読みはじめて、とうとうこの「あかりの木の魔法」にたどり着きました。{%クラッカーwebry%} ...続きを見る
デリシャスな本棚
2008/06/10 20:41

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