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zoom RSS サクリファイス 近藤史恵 新潮社

<<   作成日時 : 2007/11/01 23:56   >>

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画像非常によく練りこまれた、緊迫感に満ちた物語でした。
「サクリファイス」とは「犠牲」ということ。自転車競技では
エースを勝たせるために、チーム全体でそれをサポートする。
つまり、一つの勝利のためには、常に捨て駒が存在するということ。
もちろん、スポーツであり、勝負の世界である限り、そこには
人の感情が渦を巻く。この物語は、そんな自転車の世界に生きていく
人間の心の中を緻密に追いかけてあります。
自転車という競技の駆け引きと、そんな人間のドラマが見事に絡み合う。
いや〜・・自転車という競技に無縁の私も十分楽しめました。



自転車、という競技を私はほとんど知らないんですが、非常に
クレバーな要素が大きい競技だと思いましたね。「駆け引きと戦略」のスポーツ。
そして、何より「誇り」を大切にする紳士のスポーツ。
ただ、相手を出し抜いて勝つだけでは、尊敬されない。
フェアであること、それが尊重されるという・・。
この物語にも出てきますが、近畿の近郊の山々では、自転車のトレーニングを
してらっしゃる方を、よくみかけます。自転車で、よくこんな山道を走るもんやな〜、
と思うだけだったんですが、ちょっと今度から見方が変わりそう。
一見地味やけど、非常にスリリングなスポーツなんですね。


この物語の芯になるのはさっきも書いた「誇り」という言葉でしょう。
勝利のために、黙々とエースのために自分を走らせるアシスト。
それは、やはりその勝利の影には、自分がいるんだ、という誇りでしょう。
そして、その犠牲の上に勝利を手にするエースは、誰よりも誇り高い
存在でなければならない・・。この主人公の所属するチームのエース・石尾は
そんな存在。ほとんど喋らない彼の真意はなかなか周りに通じにくい。
そんな石尾を巡る謎にぶち当たりながら、成長していく白石・・。
少しずつエースとしての石尾の心理と行動が解き明かされるんですが、
それが非常にドラマチックで感動的です。
それまで表に見えていたものが裏に、黒に見えていたものが白に
ひっくりかえっていく、面白さ。そして、そんな石尾の行動を読み解けたのは、
いつしか白石も、悩みながらも同じ誇り高さを身につけたからかもしれません。


何だかねえ〜、最近ニュースをも見たり、いろんな事を見るにつけ
聞くにつけ、しょぼくて、かっこ悪いことが多すぎますね。
タダで接待してもらったりすることがそんなに嬉しいんか、とか。
老舗、という看板を背負いながら、もったいないから、何度もモチを使いまわすとか。
セコい。しょぼい。皆、「誇り」がなさすぎ。誰が見てなくても、自分が見てる
わけやないですか。私も大概自分に甘い人間やけど、やっぱり、自分が
自分であるために一番大事なところは、譲ったらあかん、と思うんですよね・・。
そんなこと思うんは、少数派なんかと思う今日この頃ですが・・。
この物語を読んで、そのイライラのツボを押されたみたいで、とっても
すっきり致しました。近藤さんとは、友達になれそうな感じがするな、と
いつも思う。犠牲という残酷さをよくわかっていた石尾の潔さに、最後涙しました・・。
いい物語でした。


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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
ERIさん☆こんばんは
最近ニュースになっている人達って、みんな恥ずかしい人ばっかりですよね。
エースのためにがんばるアシストって、誇りなしにはできない仕事です。
ロードレース観戦も是非!
Roko
2007/12/05 23:16
こんばんは。
自転車ロードレースの世界の魅力、アシストの役割や思いが十二分に描かれていましたね。最後に石尾さんの思いがわかって、感涙でした。
自分に「誇り」を感じられないこと、時々あって「一番大事なところは、譲ったらあかん」って思えるようになりたいです。
仕事多忙でなかなか休めませんが、意識はしています。
『ブルースカイ』にもトラバさせていただきました。
藍色
2007/12/16 17:30
ERIさん、こんばんは(^^)。
渦巻く感情、対立する関係、息をつかせぬ展開。
とてもすごい作品だったと思います。
「サクリファイス」の本当の意味がわかった時、その真摯な思いと責任感と、嫉妬や羨望すら飲み込んで頂点に立つ「エースの孤独」に胸が痛くなりました。
水無月・R
2008/09/05 23:55

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