おいしい本箱Diary

アクセスカウンタ

zoom RSS そのぬくもりはきえない 岩瀬成子 偕成社

<<   作成日時 : 2008/01/02 01:43   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

画像年の初めから、この本を読んで、ちょっと辛かった。
大人で母親である自分と、子どもの時の、自分がこの世界のどこに
身をおいたらいいのか、よくわからずに呆然としていた頃の自分の
間で、ウロウロしてしまう感覚。痛かったなあ〜・・・。

主人公の女の子・波は、感受性が強くて、どちらかというとおっとり
した女の子。しっかりしたお母さんが波に要求してくるあれこれに
反抗できずに、ソフトボールや塾に通ってはいるが、そんな状況に
少し疲れている。そんな時、一つ上の、絵画教室で一緒になった
真麻ちゃんに頼まれて、近所の高島さんのところの犬の散歩を
引き受ける。お年寄りの高島さんの家には、真麻曰く幽霊が出るらしい。
少し怖くなった波だが、犬のハルに惹かれて、その仕事を引き受ける。
ところが、その高島さんの家で、波は、不思議な足を怪我した、男の子に
出会う・・・。

あまり口答えしなくて、言葉がするすると出てこない波に、お母さんが
自分の意見を押し付けていく、その過程が、むやみにリアル。
「正しいこと」つまり「正論」を、言葉を尽くして投げかけてくる母に、波は
反対できない。たとえ、ソフトボールがとても苦手で、中学受験のための
塾が、自分には果てしない徒労に思えても。

人生にはいろんなことがあるんだから、いやなことに負けてちゃだめよ。
にげちゃだめ。がんばらなきゃ。お母さんの言葉は波をぐるぐる巻きにする。
 いろんなことってなんだろうと波は思う。お母さんに「人生が」と言われると
山の中にまよいこんだような気になる。どっちを見てもにょきにょき背の高い木が
はえていて、出口がわからないような気になるのだ・・・



ああ・・私も、こんなことを息子に言わなかったかしら。
いや・・つい、最近も言ってしまったような気がするなあ・・。
「正しいこと」は人を追い詰める。こうなってほしい、と思う親の気持ちが
子どもを追い詰めることがある・・・。でも、そんな期待を抱かない親も
少ないだろうなあ・・。私もそうであったけれど。自分は、そんなに子どもに
何も期待しない、押し付けたりしない、そう思いながら、子どもの気持ちを
コントロールしようとは思っていなかったか。子どもの気持ちを聞くまえに
自分の意見を滔々と述べはしなかったか。その痛みと一緒に、自分が
非常に怖がりな子どもであったころの、あの、体中に巻きつく不安を
思い出し、その心細さの中で、生きている波に、非常に感情移入してしまった。
そんな波が、朝夫という、昔に生きていた男の子とタイムスリップしてであったのは
そんな寄る辺なさを、朝夫も抱えていたから、ということなのだろう・・。

まこと、子どもというのは、生きにくい。
生きていくことの与奪権を大人が握っているのだから。
どうしても、子どもは、親に愛されたいと願ってしまうものだから。
息詰まった波は、朝夫とプチ家出をしたことで、やっと自分の意志を
伝えることができたのだが、これは、ほんとにイチかバチかの勝負ですよねえ。
私には、できなかったなあ〜。
そして、そんなささやかな反抗も、なかなか出来ない子も、たくさんいるんじゃないかしら。
最近目にする、子どもに期待する親のマニュアル本を見るたびに、心がしんどくなる。
これに、付いてこられない子ども達は、どんなにしんどかろう・・と。
その子のありのままを見つめて、そこから始まる成長を、手助けすること。
それが一番いいんだろうなあ。子どもがこんなにでかくなってから、それに
気づいても、遅いのかもしれませんが。
親として、いろいろ考えさせられる物語です。ぜひ、子育て真っ最中のお母さんに
読んでいただきたいなあ〜・・・。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
『そのぬくもりはきえない』
『そのぬくもりはきえない』 著 者: 岩瀬成子 出版社: 偕成社 発行年: 20 ...続きを見る
会社ともおの読書日記
2008/01/09 23:46

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
今回は、ERIさんと随分と観点がズレたかな。母子カプセルについて、触れざるを得ないとは思ったのですが、そこをあまりクローズアップせぬようにと思いました。というか、僕が、子どもの頃に母親を亡くしているもので、その葛藤に、わりとひっかからないんですね。母親と子どもの関係性には「難しい部分」もあれば、「大切な部分」もあります。「難しい部分」ばかりを見つめすぎると、見失うこともあるかも知れないと思いました。

>「正しいこと」は人を追い詰める。
叱る時に、逃げ道をどう残してあげるか考えるべきだと言われたことがあります。パニックに陥らせないで、悟ってもらうにはどうしたら良いのか、考えますね。「まとも」だけでは、人間、バランスもとれないことがあって、自分の中の「まとも」じゃない部分が、随分と疼いた作品でした。それでも、大人になって、「まとも」なフリだけはできるようになったかなあ。
ともお
2008/01/10 18:21
>ともおさん
そうですね〜、ズレましたね。それは、多分私が今母親として今だ格闘中であるということなのでしょう。フラットな気持ちでこの物語に相対することができませんでした。このお母さんがすべて間違っているというのではなく・・ごく普通に、社会に適応して生きていってほしいという勝手な願いと、子どもの現実とのギャップというものに、どうも母親は引きずり回されがちなんですよね。それはそこ、自分の価値観だけで育てればいいのかというとそうでもなく、「社会」というものの中で生きていかなければならない現実と、本人との落差に、親としてはどうしても悩むわけです(笑)今回、その迷いがレビューにも出ましたね(汗)それもわかりながらも、親の気持ちとしてはこれも一興・・とアップしました。そして、悩ましいことに、波のこういう理解されにくい部分は、やはり私にも多分にありまして。波の部分と、母としての自分。どうも未熟な私には、折り合いをつけるのが難しいようです。
ERI
2008/01/10 21:03

コメントする help

ニックネーム
本 文

記事一覧

そのぬくもりはきえない 岩瀬成子 偕成社 おいしい本箱Diary/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる