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help リーダーに追加 RSS 戸村飯店青春100連発 瀬尾まいこ 理論社

<<   作成日時 : 2008/05/12 00:50   >>

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画像瀬尾さんの久々の長編。
大阪の話なんで、私も今夜は大阪弁丸出しでいきますわ。
あったかい物語やった・・。
学校の先生してはる、瀬尾さん。
エッセイなどを読むと、ほんとに、いい先生やなあ、と思う。
等身大で、生徒に向き合っておられるように拝見します。
その経験が、また、瀬尾さんの中で、いろんなものを熟成させて
いるように思った作品でした。

戸村飯店は、大阪のどこかにある、ほんまにどこにでもあるような
町の中華料理屋さん。そこには兄と弟の兄弟がいる。
考えるより先に体が動くタイプで、人当たりがよく、
しっくりと自分のいる場所に馴染む弟。
なんでも器用にこなすように見えて、実はずっと自分が生きてきた
ところに違和感を感じてきた兄。
高校を卒業して、自分の道を考えたときに、兄は、大阪を捨てて東京に
行ってみることにした・・・。

ここに描かれているのが、ほんまにこんな感じやねえ、っていう
大阪で(笑)濃いねんなあ、色々と。
近所の中で、全てが完結していく感じ。
よくも悪くも、人間関係が濃いから、その中でやっていけるか
どうかは、けっこう大変かもしれません。
私も、子育てしてる時は、近所の子供達を、ほぼ把握してました。
あれこれ、顔みたら話しかける、典型的な、大阪のおばちゃんでございます。
私は、大阪の中でしか生きてきたことがないんですが、
この、兄貴のヘイスケが、自分の住んでるところから出ていきたいと
思った気持ち、よくわかりますわ。
私も、若い頃、ここを出て、どこかに行きたい、とよく思ってた。
自分の周りの、「血」を感じるものから、逃げ出したかった。
そのずっと、自分の椅子が見つけられない違和感、
なぜか食い違ってしまう、家族の中の、ちょっとしたすれ違いを
瀬尾さんはとても上手に書いてはります。
こう・・善意の中にいる、居心地悪さ、みたいなもんがね、よくわかるんですよ。

そのヘイスケと対照的な、弟のコウスケ。
皆に、愛されるタイプ。自分は不器用だと思ってるんやけど、
それが、またいい方に回っていくタイプ。
いるなあ〜、こういう子。
大阪では、こういうタイプが、愛されるねんなあ。
私も、きっと近所にこんな男の子おったら、可愛がってしまうやろなあ。
何となく、家業をついで、店をやると思っていた彼なんですが
思いがけず父親の反対にあって、初めて自分が一体何をしたいのか
考えてみることになる・・。
そこで、初めて気づくんですね、自分が、何も考えようとしていなかったことに。

対照的に見えながら、きっとこの二人の根っこみたいなものは
同じ。それは、二人をちゃんと愛してきた、両親と、やっぱり
自分が生まれた土地に繋がっている。
一度大阪から出て行ったヘイスケも、東京で、自分の居場所がどこかを、
故郷から離れることで、見つけた。
コウスケも、きっと自分の生まれ育った場所から距離を置くことで、
たくさんのものを見つけるだろう。案外、東京で苦労するのは
コウスケかも。でも、きっと、それはコウスケを大人にするだろうなあ・・。
こう考えると、大人になる、ということは、自分を外から眺めていくことかも。
自分を見る、たくさんの外側からの目を獲得して、
また自分を見つめていくことなのかもね・・なんてことを、
もうこの年齢になって考えてる自分が、おかしいな。
若さや、その若さが持つ強さ、弱さ。
どれも、瀬尾さんが、優しい目で抱きしめようとしているのが
伝わる、暖かさに満ちています。
そしてね。帰ってくるとこがあるっていうのは、ええことやなあ。
おかえり、て言うてくれる愛情。
そこがある、いつもある、っていうことの幸いが、胸を暖めてくれました。
ここ二日くらい、大阪はえらい冷えますが、そんな時にこの物語を読めてよかったわあ。
瀬尾さん、ありがとう。


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