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zoom RSS ゴーストアビー ロバート・ウェストール 金原瑞人訳 あかね書房

<<   作成日時 : 2009/05/24 19:38   >>

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画像何と嬉しいことに、ウェストールの新刊です。
しかも、幽霊・・というか、自分の意志を持った
幽霊屋敷のお話。これが、上手いんだわ、ほんとに。

主人公は12歳のマギーという女の子。
12歳にして、一家の主婦。妻を亡くしてから、生気を失って
しまったように、しょぼくれている父親と、やんちゃな双子の
面倒を見る、健気な女の子。私は、この、健気な女の子、
というのに弱い。こういうタイプの女の子は、人生、損な
役回りになってしまうことが多いんですよ。
で、ご多聞にもれず、そのタイプばっちりの彼女は
気苦労が絶えない。パパは、しっかりもののママを
亡くしてから、仕事にも身がはいらない・・どころか、
だらしない独り者の女を自分の家に入れたりする。
そして、人間として、まだ形がついてないような、
原始のエネルギーに満ちた双子の弟は、だんだん
手に負えなくなってきている。
どないすんねん、と、大阪弁が使えたら、すべてに
突っ込みたい気分だろう。そんな一家に転機が訪れる。
建築士のパパが、田舎にある、大きな修道院の管理と修理を
依頼されたのだ。ところが、そこは、なんともいわくつきの
幽霊屋敷。・・というか、屋敷そのものが、自分の意志を持つ、
不思議な館だった・・。

マギーは、呼ばれちゃったんですね、この家に。
ゴーストアビーに。
感受性の強さを勝気で押さえているマギー。
彼女は、誰かを守ろうとする女の子です。
パパを情けなく思いながらも、彼女が一生懸命
パパを支えようとするのは、パパの痛みがわかるから。
柔らかい心を、必死で支えて強くふるまっている。
そのマギーを、この物語に出てくる人たちは、誰も理解しようと
しない。マギー以外の大人は、マギーに言わせれば、「迷い犬」。
自分の想いにばかりとらわれて、物事の本質を見ようとしない。
この年齢のまっすぐさと、聡明さを兼ね備えたマギーだけが
この幽霊屋敷のアビーの存在を感じ、その意志を
理解することが出来る。
そして、アビーだけが、この少女の心のありように気付いている。
そして、彼女にメッセージを送ってくる。

人外のものと心を繋ぐ不気味さと、わくわく。繋がるはずがないものと
心が触れ合ったときの、琴線が震えるうずきのようなもの・・。
ホラーとしての楽しみもさることながら、この物語の真髄は、
この異種なものと血が通う時の、不思議な快感にあるのかも。
怖いけど、惹かれてしまうもの。心が吸い寄せられるもの。
ウェストールの物語には、いつも人間の理解を超えた
暗闇が、ぽっかりと穴を開けている。
その暗闇から立ち上る、言葉にし難い「何か」。
それは「死」かもしれないし、「永遠」かもしれないし、目をこらせば
逃げていくような、心で感じるしかない「何か」。
私たちの理解を越えたところにある、影のようなその気配を
教えてくれる・・ウェストールの小説は、「物語」だけがその力を
もっていることを教えてくれます。

人間を越えた存在に触れる、こういったファンタジーは
遥かなるものへの眼差しを心に植え付けるように思います。
その眼差しのない人って・・なんだか、傲慢になっちゃうような
気がしますねえ。自分の物差しでしか、すべてを見ることが
できなくなっちゃう。それは・・私にとっては怖いことです。
「裸の目」を失いたくない。
いつも、心に風穴をあけていよう。
いつまでも、柔らかい心でいられるように。

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