おいしい本箱Diary

アクセスカウンタ

zoom RSS ウィッティントン アラン・アームストロング もりうちすみこ訳 さ・え・ら書房

<<   作成日時 : 2010/01/17 01:00   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

画像猫は、一匹一匹物語を背負っている。
だから、あんなにいつも何か考えてるような顔を
してるんじゃないかなあ・・(猫バカ)
この本は、私のような猫バカには、ほんとに美味しい本でした。

二頭の老いぼれ馬に、はんぱな鳥の寄せ集めという、
バーニー農場に、ある日ウィッティントンという、耳のちぎれた猫が
やってくる。彼は、イギリスの伝説の若き英雄の人生の伴侶だった猫の
誇り高き末裔だった。ふらっと農場に住みついたウィッティントンは
自分の賢いご先祖様と、一人の心優しい少年の物語を語り始める・・。

この農場を一生懸命世話しているバーニーというおじいちゃんが、
とってもいいんです。彼は、ほんとに優しい男で、人が見向きもしなくなった
動物たちを、ほっておく事が出来ない。だから、皆、「こんなニワトリは
バーニーしか飼わないよ」という理由で、いろんな傷ついた動物たちを
持ち込んでくる。バーニーは、どんな動物でも、絶対に見捨てない。
それも、別に、自分が「いい事」をしてると思ってやってるわけではなくて、
ただ、好きなだけ。動物が、好きなんです。微笑むと、ただ、少年のような
顔になるバーニーは、つるつる滑る坂道にめげずに、ガソリンスタンドを
経営するかたわら、毎日農場に通って動物たちの面倒をみる。
歩けない鶏、肉にされてしまう一歩手前で救われた馬たち。
箱に入れて捨てられていたカモの女将。収容所に送られそうになっていた
捨て犬・・。はみ出しものの彼らは、どこかに傷を負っている。
でも、だからこそ、彼らは、この農場で、「家族」として、身を寄せ合って
暮らしている。動物たちを思慮深い、知性をもった存在として描くのは、
児童文学の善き伝統ですが、この物語も、そこがとっても魅力的。
彼らの会話の生き生きとしていること。人間くさくて、でも、ちゃんと
人間じゃない。猫は猫のままに、カモはカモのままに、ウイットに富んだ
会話と、人間模様・・いや、動物模様を繰り広げます。
ところどころに、人生を深く感じさせる警句が入るのも、イギリスっぽくて
いい感じです。(アメリカの作家さんなんですが・爆)
「可愛い〜〜!」と、人間に見下される存在ではなくて、自分に誇りを持って
生きている。そこが、いい。


バーニーには、二人の孫がいます。姉弟の兄弟ですが、母親が早くに死に、
父親は自分たちを捨てて行方もわからない。そんな悲しみの中で、
弟のベンは、学習障害を抱えて勉強が遅れがち。
学校も、楽しくない毎日。心配する姉のアビーも、どうしていいかわからない。
その彼らと、この農場の仲間たちに、猫のウィッティントンは、ご先祖さまの話をする。
そのお話が、この物語の芯になっていきます。たった一人、8才という年齢で
故郷を捨て、ロンドンにやってきて、生き倒れの身から、誠実に働いて
人々の信頼を勝ち得ていく彼。そして、その傍にいて、いつも幸せをもたらした猫。
お互いを信じて、勇気と誇りをもって生きていくその物語に、農場の動物たちも
愛に満たされない姉妹も、それぞれが勇気づけられ、心が結ばれていきます。
そして、動物たちは、姉弟を励まし、なんとか、ベンが文字を読めるようになるようにと
一生懸命応援して・・そして、奇跡が起こるのです。

少しずつ、皆、いびつだったり、欠けていたり。
出来ること、出来ないことがあって、どうしても越えられない壁もある。
でも、お互いに約束を守って、誠実に、おてんとさんに恥じないように
生きていたら、巡り巡ってお互いが助け合える存在になる。
何よりも大事なのは、「信頼」っていう事なんだよなあ・・と
理屈ではなしに教えてくれる、楽しい物語でした。
人間と動物だって、信頼で結ばれるから、一緒に暮らしていける。
2006年の、ニューベリー・オナー賞の受賞作品。
さすがです。何回も言うけれど、バーニーさんがいいですよ!
こんな人、大好きです。
翻訳も格調高く、ユーモアたっぷりで素敵です。
大人も子どもも、楽しめる一冊。物語の魅力満載でした。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは(^-^)動物たちが皆、本当に魅力的自分に誇りを持っていて、それでいて仲間想いで・・皆が大好きになりました♪バーニーも本当に素敵なおじいちゃんです。
納屋の動物たちと子供たちとの心の繋がりや、ウィッティントンの語る物語に夢中になっているうちに、大切なことを沢山教えてもらえたような気がします。
人と人との繋がりも、動物と動物も、人と動物も、大切なことは『信頼』なんですよね。。。
本当に素敵な物語・・。寒い夜に、心がぽかぽか暖かくなりました(*^-^*)

『猫は、一匹一匹物語を背負っている』本当にそうかもしれませんね。近所にたくさん居る猫たちを見ていると、いつも何か難しいことを考えているように見えます(*^m^*)
犬はもっと単純?・・っと人間には見せておいて、実は色々なことを深く考えているのかもしれません(笑)

2010/02/06 11:06
>花ちゃん
いつも、コメントありがとうm(_ _)m
動物の信頼は、宝物。物いわぬ彼らだから、その信頼が全てだよね。でも、きっと、言葉にしないだけで、こんな風に・・いや、もっと色々と感じて、考えて生きているに違いない、って思ってしまう。
きっと、お宅の○ちゃんも・・んふふ(*^m^*)
バーニーさん、素敵やったよね♪私も、大好き。
ERI
2010/02/06 20:41

コメントする help

ニックネーム
本 文

記事一覧

ウィッティントン アラン・アームストロング もりうちすみこ訳 さ・え・ら書房 おいしい本箱Diary/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる