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zoom RSS 3652 伊坂幸太郎エッセイ集 新潮社

<<   作成日時 : 2011/02/04 00:28   >>

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画像伊坂氏の初めてのエッセイ集。デビュー10周年ということでの企画だそう。そうかあ。10年かあ。10年があっという間に過ぎていく年齢になりつつありますが。このブログも6年ぐらい書いてるんだから、伊坂氏のデビュー10周年と聞いて驚くことはないんですが。デビューしてからずっと読んでいる方の、○○周年、という言葉は、月日の速さを特別に意識させますね。

「僕自身が至って平凡な人間で、平凡な日々しか送っていないため、作り話以外のことで他人を楽しませる自信がない」という理由で、エッセイはあまり引き受けないようにしておられるらしい。大丈夫です。面白かったです、と教えて差し上げたい(笑)。何というか、ファンというのは、好きな作家の生み出すものと、親密になりたい、という気分があるんです。だから、エッセイという形で、創作のヒントや、表現する姿勢のようなものを教えてもらえると、「へへーん、知っちゃったもんね」という秘密の共有意識のような連帯感を感じたりする。エッセイに書いて出版されてるんだから、実際はなーんも秘密やないんですけどね。例えば、伊坂氏の小説に出てくる、飄々とした不思議な味を醸し出している「父親」という存在は、伊坂氏自身のお父上の影響が強いんだな、と発見したりすると、何だか嬉しかったりする(笑)私は、このエッセイから感じる伊坂氏の誠実さや、伊坂氏曰く平凡かもしれないけれど、いわゆる社会人として普通に生活を送っている感覚を、とても好ましいと思いました。水平感覚というのかなあ・・・ものごとを、色目で見ない。ノーベル賞をとった作家の本からも、道端に転がっているちっぽけな石からも、同じくらいたくさんの事を受け取れる、そんな人なんだなあと思ったんですよ。だから、日常において、そんなに突飛なことや、変わったことをしなくても、彼の前には無数のサインが転がってるんじゃないか。そんな風に思いました。私なんか、すべてをぼやあっと見過ごしてる人間なので、やはり刺激を受けるし、面白いと思います。

例えば、「私を変えたこの一冊」という項で、大江健三郎の「叫び声」をあげておられるのだけれど。彼は、たまたま読んだこの本で大江健三郎を知り、冒頭の文章に、「そういう感覚は馬鹿馬鹿しくて、いいなあ」と思ったらしい。ここを読んだとき、何故か「あー、負けた」と思ったんです。そうやんなあ。そういう感覚で・・というか、本を読む感覚、というのはそうあるべきなんですよねえ。名前から入るようじゃ、いかんですよ。私が読んだら、まず「大江健三郎」という著者に対するイメージから入ってしまうに違いない。いろんなキーワードを頭の中に散りばめながら、何かこう・・カッコつけてしまいそうな気がする。嫌ですね。嫌らしいですね。作家に対する知識というのは必要なこともあるし、文学史的な位置づけ、とか成立論的なことも、いろんなサインを読み解く上で大事だったりしますが。まず、物語を読む時には、頭の中は真っ白に無垢な状態にしておくべきだよなあと思いました。でないと、一番大切なところを読み落としてしまう。読み始めた途端、「やばい、いいかも」と想って、にやにやするのが、伊坂氏も言うとおり、最上の読書の喜びです。感覚は鋭く。一冊一冊に、常に頭の中をリセットしていかなあかん、と改めて思いました。

「答えが出ないものは小説にするべきだ」という伊坂氏の信条を、好きな言葉の覚書ノートに書きつけて、花丸をつけ、頁を閉じました。うん。面白かった。にやにやしました。伊坂ファンには必読です。

2010年12月刊行
新潮社

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「3652 伊坂幸太郎エッセイ集」を読みました。 ...続きを見る
笑う学生の生活
2011/09/16 21:45

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