てのひらの中の宇宙 川端裕人 角川書店

画像プラネタリウムに行ったのは、数回だけですが・・。
どこだったかなあ、東北のほうに、けっこう大きなプラネタリウム
がありまして。(何しろ息子たちが小さいときに行ったので、記憶が
あやふや)それが、結構本格的なプラネタリウムで・・。
宇宙、銀河、という大きいテーマの構成で見ごたえがあったんですよ。
ところが、それを見ながら私が感じていたのは、妙な孤独感。
この果てしない宇宙の中で、ほんまに地球だけにしか命がない。
ここを離れたら、あとはただ茫々と広がる無限の沈黙・・。
UFO・・といのは、そんな人間の孤独が生み出した共同幻想なのかも
しれないな・・と思ったりします。
その無限さに初めて子どもが触れるとき、どんな思いがするのか。
自分の持つ「命」をどんな風に意識し始めるのか。
この物語の書かれている少年の「目覚め」の初々しさが素敵でした。

妻は病気で入院中。その間に父親の崇が子ども二人を自分と母親で
面倒を見ているんですが、これがいいお父さんなんですよ・・。
兄のミライくんは、五歳。妹のアスカちゃんは、二歳。
五歳のミライくんは、今この世界を理解しようとする入り口に立った
ところ。いろんなことが珍しくて、たくさんの事がしりたくて、好奇心で
いっぱいになっている年頃・・。その好奇心をなんとかわかる言葉で
満たしてあげようとするお父さん。そして、それに答えていくうちに、
また自分も新しい気持ちでこの世界に出あっていく。
そんな親子のやり取りが素敵でした。
子育ての面白さ、ってここにあるんですよね。
大人になって忘れてしまいかけていること。
昔抱いた、この世界へのいろんな恐れや、好奇心。
「命」というもの、そして「死」というものをはじめて意識したときのこと。
そんなことを、子どもの目を通して再確認したり、また発見しなおしたり。
私も、絵本や児童書の面白さ、楽しさ、を子どもに読んでやるところから
また再び見つけたことが、この「おいしい本箱」へと繋がっているんですよね・・。
この本は、子育て途中のお父さんに、ぜひ読んでいただきたい。
こういうアプローチって、お父さんにしかできない部分があると
思うんですよ。母親って、生活に密着しちゃうから。
だから、子どもの、なぜ?どうして?に、付き合いきれなくなっちゃったりする。
それに応えて、世界をどんどん広い視野から見つける手伝いをしてあげること・・。
これって、大切なことですよね・・。

癌という、命に関わる病気を戦う妻の今日子。
一時退院してきたときに、その今日子を囲んで眠る情景は美しい。
宇宙という大きな視点から、この小さな命の慈しみを描いているところに
川端さんの子どもたちの対する愛情を感じます。
この世界に慣れて、感動を忘れがちな大人たちへの警鐘なんですね・・。
ミライくんのように、新しい気持ちで、この世界を見ていけたらいいな。

おいしい本箱 → http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php

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この記事へのコメント

藍色
2006年10月14日 02:20
目に映ることに興味を感じて生き生きしている子供たち、わかるように答えることを心がける父親、家族を思う母親が織り成す、素敵な家族のお話でしたね。「命」や「死」を教えること、かなり難しいと思うのですが、伝える姿勢を保つ父親っていいなぁと思いました。大人になると感動を忘れがちですけど、日々を新たな気持ちで過ごしていけたらいいですね。
2006年10月15日 22:30
子どもに「死」のことを聞かれたときの、緊張感を久々に思い出しました。
妻の死におびえながらも、命を「連鎖」として捉えて前向きに見つめようとするところが素敵でしたね・・。ほんと、こんなお父さんって素敵です。
川端さんもこんなお父さんなのかしらん。なんだかそれを想像して、ほほえましかったですよ!!
すの
2006年11月18日 21:28
読んだ直後は、作品世界になじめなかった部分が大きくて、ちょっとがっかりだったのですが。ある方のレビューで違和感を拭うことができました。ただ、宇宙や命の広がり、そして孤独を描くことは同じ作家の「せちやん」のほうがよほど素敵です。オススメです。