九月の恋と出会うまで 松尾由美 新潮社

画像なんだか気だるい四月・・皆様、お元気ですか。
この時期は、どうも苦手で、心も体も不安定になるんですが。
いろいろあった疲れもあり、特にだらだらしてしまっております。
TB、コメント、遅れがちで申し訳ありません。
故あって、しばしば新幹線に乗っておるのですが、フレッシュマンらしい
方たちによく出会います。ブラックのスーツに、ちょっと緊張した笑顔。
全てが動き出す、春。それを超えがたく思うのは、もはやフレッシュでは
なくなったせいか(爆)・・・いやいや、もう一花。桜は散りかけですが、
咲かせていかなあきません。

気だるい頭に、大作は読めず・・。
ぱらぱらと、あれをめくってはやめ、これをめくってはアカンと思い、しておったんですが。
この物語を読み始めたら、すっと世界に入れて読了。
SFも絡んだ、設定としてはありえない話なんですが、空気感がとてもさりげない
せいか、すっと心に入ってます。・・・恋って、不思議なところに落ちてる。

写真を撮ることを趣味にしているOLの志織。安心して現像ができる場所を探して
やっと見つけたマンションは、ちょっと変わったオーナーが家主。
芸術家に部屋を貸したい、という彼のマンションは、なかなか素敵な住み心地なのだが
ある日、その自分の部屋で思いがけないことが、起こる。
エアコンのダクトから流れてきた低い声が、自分は一年後にいる未来の人間だと
言い出し、彼女に、隣人の平野という男性を尾行するように依頼してくるのだ。
おかしい、と思いながらも彼が言う、一週間分の新聞の見出しがぴったり合っている
のに気おされた志織は、いわれるままに、ちょっとさえない営業マンで、何のアートと
関係あるのかわからないままの、平野という男性を毎週水曜日尾行し。写真を撮ることになる。それがなぜなのか、何の目的なのか、ダクトから流れてくる声も持ち主ーシラノは
教えてくれない。そんな3週間目の水曜日、尾行しそこねて一日つぶしてしまった
志織は、自分の部屋に泥棒が入っていたことを知る・・・。


シラノの目的は、どうやら志織を助けることにあったらしい。
つまり、その水曜日、泥棒と鉢合わせしていたら、彼女は殺されていたらしいのだ。
それを知っていたシラノが、彼女を助けようとして、そんな奇妙な提案をしてきた
らしいのである。時空の壁を、越えて。本当に奇妙な偶然のせいで。
そのエアコンのダクトがふさがっていたら。
志織が、たまたまその場所で、クマのぬいぐるみに話しかけなかったら。
そのシラノという男が、その時そこにいなかったら。
そして、このマンションのオーナーの、ちょっと不思議な力を持っていた奥さんの
魔法がかかっていなかったら。
彼女は、あの水曜日に殺されてしまっていた。
―本当は、まったくありえない、奇跡。でも、考えれば、誰かと誰かがであって
恋をすることなんて、これに近い奇跡なのかもしれない。
そして、人は、こんな全くの偶然で、はかなく生き延びている存在なのかもしれない。
だって、がけ崩れの数秒前にそこを通過する車だって、あるのだから。
誰もが持っていて、気が付かない奇跡なのかもしれない。
生きていて、誰かに出会う、ということは・・。

シラノは誰なのか。尾行が縁で、仲良くなった平野なのか?
それとも、オーナーの孫で、昔の同級生の真一なのか。
一年先の未来の声に救われた志織は、自分の存在があやうく、あやふやに
思えて仕方なくなってしまう・・。そして、シラノに恋していた自分に気づくのだ。
そんな彼女の前に現れるシラノの正体は・・・。
ここは、もう楽しみに読んでいただくとして。
いい結末です。いいプロポーズです。
人は、誰でもあやうい存在で。
・・・そんな人の存在を確かにするのは、「想い」という眼に見えないものなんやな、と。
そんなことを考え、胸がほっこりと暖かくなりました。
ハッピーエンドは、いいわ、やっぱり。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php

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この記事へのコメント

miyukichi
2007年06月20日 00:29
 こんばんは♪
 TBどうもありがとうございました。

 そうそう、さりげない空気感が、とても心地よかったです。
 結末もとても素敵でしたよね。

 http://blog.goo.ne.jp/miyukichi_special