6時間後に君は死ぬ 高野和明 講談社

画像「6時間後に君は死ぬ」・・このタイトルにはびっくりしましたが。
読んでみると、思いがけずハートフルで、よく練られたいい作品でした。
予知、という割と使い古されたテーマを題材に、ここまで緊迫感ある
作品を粒をそろえて書くことができる・・力量がありますね。
予知をするのは、心理学者の山葉圭史。どことなく、影の薄い感じですが
なかなか好青年です。

初めて会った人間に「6時間後に君は死ぬ」なんて言われたら、まずは
いたずらとしか思わないですよね。そのあたりの出だしを、いかに運ぶか
難しいところだと思うんですが、非常にうまく読み手を引き込んでいきます。
最後もうまいどんでん返し・・。この表題作が、一番面白かったかな。
ミステリーの匂いが強いのは、この「6時間後に君は死ぬ」と「最後の
「3時間後に僕は死ぬ」。登場人物もうまく重なって、上手な構成です。
「6時間~」で「圭史の予知し未来は変えられるのか?」という疑問を感
じたんですが、それがうまく最後で扱ってあって、面白かった。

「時の魔法使い」「ドール・ハウスのダンサー」
どちらも、夢に向かって生きる女性が主人公。
どちらも必至で夢に向かうのだが、その結末はそれぞれ・・。
でも、どちらに対する眼差しも優しいのが、いい感じ。

「恋をしてはいけない日」も、やはりどんでん返しがあるんですが
このどんでん返しは悲しいですね・・。
でも、この悲しい出来事があって、初めて未亜は人を好きになるということを
知る・・。自分の息子達の年齢の子を見ていて思うんですが・・。
傷つくのを非常に怖がる。
私も傷つくのは嫌いで、傷跡がひりひりとする性質なので、その気持ちはよく
わかるんですが。傷つかないと見えないものも、世の中にはあるんです。
心に、きっちり線は引けないものね・・。

やっぱり、予知なんてものは、したくない・・。
わかったらいいな、と思うことはたくさんあるけれどね。
未来がわからないから、人は諦めないでいられると思う。
大切なのは、自分で運命を変えていくこと・・。
と、最後に手を繋いだ二人が教えてくれた。
読み終わったあと、非常にすっきりといい感じのしたミステリーでした。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php

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この記事へのコメント

藍色
2007年08月10日 15:07
タイトルのインパクト、びっくりでした。「6時間後~」と「3時間後~」で前後を挟んで構成も上手でした。予知できたらって気弱になることもありますけど、やっぱり“未来がわからないから、人は諦めないでいられる”と思います。運命は変えられるっていう最後の提言も素敵な、ヒューマンファンタジーでした。『夢のカルテ』にもトラバさせていただきました。
2007年08月11日 02:24
>藍色さん
「6時間後に君は死ぬ」って云われたら、何しようかと考えてしまいました・・。うろうろしてる間に終わっちゃいそうですよ(笑)
じゃじゃまま
2007年09月07日 13:25
すごくよかったです!美緒と圭史の出会い、今後期待させつつあっさりと圭史が引いちゃうじゃないですか。ああ、な~んだ、そういうことか、と思っていたら、「3時間~」での再会。知ってる人物がまた出てくるのって嬉しいですよね。
私は「恋をしてはいけない日」が一番よかったんです。何度も読み返して泣きました。
未亜も、彼も、いい恋できてよかったね!と。
ERI
2007年09月10日 00:51
初めと最後で、ちゃんと物語として締めくくられてましたよね。圭史のキャラが初めはよくわからなかったんですが、最後で美穂ちゃんにリードされてる彼が、なかなか好ましかった。
「恋をしてはいけない日」はよかったですよね。人を好きになる痛みが、よく書かれてました。この短編、時々書いてほしいですね。
juzji
2007年09月26日 13:45
同じくタイトルにひかれて、、、

もっとハード系かなぁと勝手に想像していたんですが…(笑
でも、面白かったです。
がんばれば、人生変えられるんですね、きっと。
ERI
2007年09月28日 01:53
>jyuzjiさん
私も、もっと凄い内容を想像してましたよ。
ところが、とってもハートフルで。
全体がうまくまとまっているのも、さすがでした。未来は変えられる。そのメッセージが伝わってきて、高野さんの優しさを感じました。