ロジーナのあした 孤児列車に乗って カレン・クシュマン 野沢香織訳 徳間書店

画像孤児列車・・というものがあったという事を
始めて知りました。1850年代から1929年にかけて
アメリカで行われていたらしいです。
都会の浮浪児や孤児を集めて、西部の農家などに
紹介し、里親になってもらうという計画だったようです。
しかし、実際には労働力としてこき使われたりした子も
いたそうで、そのあと、廃止になりました。
この物語は、そんな孤児列車に一人で乗ることになった
ロジーナという少女の、物語です。

ポーランドからの移民だった父母を事故と病気で亡くして
しまったロジーナ。天涯孤独の彼女が、シカゴ駅から
乗り込んだのは、孤児列車。親を亡くした子や、事情があって
親と暮らせない子たちが乗り込んで新しい家族を探す旅。
でも、ロジーナは、恐怖でいっぱいだ。孤児は奴隷として
売り飛ばされるのだと聞いているから。しかし、自分には
いくところがない。乗り込むしかないのだ。
乗り込んだ子どもたちの中では一番年かさで、しっかりしている
彼女は、付添の女性医師に、小さな子の世話を頼まれてしまう。
長い、辛い列車の旅。その中で、彼女はたくさんの発見をしていく・・。

私は、列車というのが好きですが、乗りこむとすぐに離人感に
襲われます。速度に体がついていかない、というか。
心だけ、どこかに置いてきてしまったみたいになって、
自分がどこにいるのか、わからなくなる。
誰かと一緒の時にはそうなりませんが、ひとりだと、そんな時間を
持て余してしまうことがあります。だから、一人の時は、絶対に
本を持って乗る。これは、鉄則です。
だから、このロジーナという女の子と一緒に、この列車に乗り込む
ところから、もう、私の心は不安でいっぱいでした(汗)
たった一人。どこにたどりつくのか、わからぬままに始まる旅です。
彼女の心細さと孤独感は、いかばかりか。

その彼女が、この列車の中で、すこしずつ変わっていく。l
他者との関係に目覚めていくんです。一緒に乗り合わせた
いろんな子たちの性格や、境遇。そして、一緒に旅をする
ドクターと、少しずつ重ねていく、心のひだ。
旅先で出会ったたくさんの人たち・・・。
その中には、年端のゆかないロジーナを後妻にしようとする
けしからん大人もいれば、手紙だけでお嫁に行こうとする
若い女性もいる。少し頭の弱いレイシーを心から可愛がろうと
引き取る人もいる。始めて出会う先住民の人たちは、悲しい目を
してロジーナを見た。

人は心の中にいろんな思いを持っている。
だけど、ほかの人にはそれが見えない。


最初は冷たい人だと思っていたドクターも、実は
いろんな挫折や希望を胸に生きている、一人の人間だということが
ロジーナにわかってくる。それは、家族だけで暮らしていた時には
わからなかった、他人と会話を重ね、少しずつわかりあい、
自分の中に人を受け入れていく、人間関係の第一歩。
苦しい境遇の中にいても、心を成長させていく、子どもという
存在のしなやかさが、とても強い希望を感じさせます。
このロジーナは、いろんな不幸が重なって一人になってしまった
けれども、心のうちに、両親と、兄弟たちと、愛し、愛された記憶が
あるんです。それがあるからこそ、彼女は最後の最後まで
へこたれないし、自分を捨てないんです。
胸の中に、暖かい記憶を持っていることが、人間にとってどんなに
大事か・・それも、考えさせられました。
無条件に愛されることって、人間にとって大事なことです・・。
それが、生きる基礎になるんですねえ。

ロジーナは、きっとしなやかな心を持った、素敵な女性になったことでしょう。
そう思える、ラストが、さわやかでした。


おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php

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