明日につづくリズム 八束澄子 ポプラ社

画像この本を初めて見たときに、手に取ったんですが、
なぜかその時はやめてしまったんですよね。
それがなぜだったか、今回ちゃんと読んで思いだした(笑)
冒頭が、ピンポンダッシュだったからでした・・。
主人公の千波は、ポルノグラフィティのファンで、友人の恵と
ハルイチくんの実家をピンポンして、彼のお母さんの顔を見にいく、
という場面から始まるんです。
うーん、私は多分、ここに引っかかったんですね。
こういう事をするのは、あまり好きじゃない。
ほんとにそのアーティストが好きなら、やっちゃいかん事です。
嫌いなんですよね、追っかけとか。実家とかに押し掛けちゃうファンとか。

・・・という、個人的なアーティスト応援姿勢の好き嫌いは、おいといて。
この作品自体は、なかなか読ませました。
因島という、さっきも触れた、ポルノグラフィティの出身地でもある島が舞台。
そこに住む少女の、ひと夏の成長を追った物語です。
外へ、外へ、自分の殻を突き破りたいと願う若いエネルギーが、まっすぐ
描かれているのが気持ちいい。
もちろん、そんな千波にも葛藤はある。島を出ていく事に対する不安。
経済的に親に負担をかける事に対する心配や、自分自身に対する不安。
でも、いろんな葛藤を抱えながら、千波がいつも前を向いていられる、
その根っこに、しっかりした家族との絆がある事が感じられるのが良かった。

千波の母ののぶ子が、とってもいいお母さんなんですよねえ。
彼女は「人の手を必要としとる子がここにおって、できる人間がここにおる。
なのに、ためらう理由がどこにある?」という理屈で、3歳の子を里親として
引き取って育ててしまう人。愛情を人に注ぐ事を当たり前とする人。
その大地という血の繋がらない弟には、散々手を焼かされる千波は、
「こんな弟いらん!」と母ほどいい人には成りきれない。
弟に対する複雑な感情は、千波を苦しめるけれど、無条件に愛されて育った
彼女は、やはり自分から大地を守ろうとする。
夕日が大きく沈む美しい故郷があって、大きな愛情で包んでくれる父母がいて
家族がある事が、千波を外に向かわせる大きな力になる。
そんな暖かいエネルギーが爆発するような、ラストのポルノグラフィティの
因島ライブの様子は、圧巻の楽しさでした。

「生きてて良かった」と千波が思う場面がありますが、その喜びが、ライブの
楽しみですよ、ほんと。私もポルノの歌は好きで良く聞くので、何だか一緒に
千波とライブで盛り上がってるような気がして、とても楽しかった。
「―いっぱいの愛を、今日うちらはポルノからもらった。うちも、いつかはゼッタイに、
ひとに愛を返せる人間になろう」と千波がライブ後に思う、その素直な想いに
つい、おばちゃんはウルウルしてしまった(笑)
真剣な想いや愛情は、いろんな壁を越えて、世代を超えて、心に真っ直ぐ届く。
心が繋がっていく事が、誰かの背中を押して歩ませる・・・。
音楽や物語が、そんな役割を果たしていく事が、爽やかに胸に響く物語でした。
冒頭の、ピンポンダッシュが無かったら、もっと良かったなあ・・(まだ、言うか)
あれは、もったいない。ナイーブな心を持っている千波のエピソードとして
似つかわしくない。しかも、冒頭だもんなあ。
と、やはり個人的にファンスタンスが気になる神経質な自分(笑)

この物語は、今年の中学生向けの課題図書だそうです。

おいしい本箱 http://www.oishiihonbako.jp/index_f.php

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この記事へのコメント

しのさん
2010年05月27日 10:40
初めまして。
私も冒頭のシーン、好きじゃないです。
たぶん、ご近所というか、都会とは違う因島の距離感の表現が、ああいう形になったのかもしれませんが、ソレを読むのは、因島の人じゃない多数な人達な訳で・・・笑。
実際、因島に来ていただければ、そんな雰囲気も残ってる街だと判ると思います。
ERI
2010年05月27日 21:25
>しのさん
はじめまして。コメント、ありがとうございます。
そうなんです。この本を今年読むであろう、たくさんの子どもたちが、あのシーンを読むのかと思うと、ちょっと複雑な気持ちなんです。作品中で、彼女たちがファンレターを書くのをためらう場面があるんですが。どちらかというと、ファンレターは堂々と書いていいんですよ(笑)どんなに文章がまずくても、気持ちがこもっていれが思いは伝わりますから。
でも、そういうファン心理や、アーティストを応援するときの、様々なルールは文学一筋でこられている方には、わかりにくいかもです。私が、あまりにもおっかけや迷惑行為をする人たちの怖さを見すぎているからそう思うのかもしれませんが(汗)
しのさんの「都会とは違う因島の距離感の表現」という言葉に、なるほど、そうか、と思いました。
因島、私は行った事はないのですが、きっと素敵な所なんだと思います。海に沈む夕日。私も、見てみたいです。